2024.04.10
その場所まで行って食べるからこそ、「うまいメシ」がある。地元で採れた食材や地産のお酒、郷土を感じさせる味付け。そんな地元ならではを味わえるローカルグルメ紀行。
今回は山陰地方の玄関口、鳥取県は米子市の居酒屋へ。さてさて、どんな料理に出会えるか……。
松江市と出雲市のローカルスポットを回った島根県取材ツアーの際、諸々の都合で米子駅前に宿をとったOMUSUbeeスタッフたち。特に同地での取材予定はありませんでしたが、せっかくだったら米子でも美味しいもの食べようよ、と夜の駅前エリアをフラつく中、偶然見つけたこちらのお店、『米子の居酒屋 庄屋』さん。その昭和レトロな見た目と、看板にあった“米子の酔探訪”という文言にグッときて、惹き込まれるように探訪してみることに。
ピカピカの小洒落たお店より、ちょっとヤレた雰囲気のしっぽり系のお店が大好きな私たち。その点こちらは店構えの時点で期待大でしたが、中に入って確信しました。あ、ここ当たりだわ。
こそこそスマホで調べてみると、なんと創業28年。どおりで年季が入ってるわけです。とはいえ、掃除は隅々までしっかり行き届いてるし、壁には地元の(多分)スターたちのサインがズラリ。名店の条件が揃いまくってます。わくわく。
初めてのお店では、まず店員さんにオススメを聞くべき。で、頼んだのがこちら、国産牛ホルモンと国産牛すじを煮込んだ〈国産牛のもつ煮込み〉。なんでも常連さんのほとんどが注文する大人気メニューとのことで、期待に胸を膨らませいただきます。
……って、ウマっ(ウシだけど)!! これウマーっ(ウシだけど)!! 味付けは少しピリ辛だけど、まろやかな甘みもあって旨味も深くて、バランスが絶妙! そしてなにより、ぷりぷりジューシーなホルモンと、ホロホロ溶ける牛すじが絶品! 確かにこれは、何度も食べたくなるウマさです。ウシだけど。
さーて次は何を食べようか、とメニューを物色していると、見慣れないお料理を発見。その名も〈ばばちゃんの煮付け〉。ばばちゃん? 馬場ちゃん? はて。なんのことだかさっぱりですが、聞けば『ばばちゃん』とは正式名称『タナカゲンゲ』という深海魚で、鳥取県では東部を中心に食べられている地魚だとか。
ふーん深海魚ね。とググってみると、これがとってもブサグロちゃん! 目は正面についてるしヌメヌメしてるし……。と、一瞬にして食欲が減退しそうになりましたが、ほとばしる取材欲を押さえられずにオーダー。だけど実際食べてみるとあら不思議。あっさりしてるけどプルっプルで、その見た目からは想像もできないほどにお上品。なんだよ『ばばちゃん』、キミめちゃくちゃ美味しいヤツやん。見た目で判断してごめんなさい。
その後いくつかのおつまみを挟んだのちに運ばれてきたのは、本日のオススメとして手書きのメニューに書かれていた〈のどぐろ焼き〉。日本海に面する山陰地方の名物として、秋〜冬にかけて旬を迎える高級魚です。学生時代に食べた『のどぐろ』の衝撃的な美味しさが忘れられないというカメラマンたっての希望で、メインディッシュ的に注文しました。
お味はというと、知ってる人には説明不要。淡白でさっぱりしているのに、脂ノリノリでトロットロ! これだ〜!! と歓喜するカメラマンと奪い合うように身をほじくり回し、あっという間に平らげました。
絶品のお料理はもちろんですが、ここ『庄屋』さんは、日本酒の品揃えも自慢。せっかくなので地元のお酒が飲みたいということで、またしても店員さんのオススメをいただきました。
ひとつめは、米子市の蔵元『稲田本店』さんの〈純米吟醸 稲田姫〉。程よく辛口でキリッと淡麗な呑み口は、辛口好きな自分にぴったり! ちょっと危険なくらいのペースで飲んでしまいそうで、思わず自制するほどでした。
ふたつめは、鳥取市の『山根酒造場』さんの〈日置桜 伝承強力〉。こちらも基本は辛口で淡麗だけど、フルーティーな酸味もあって、とにかく爽やか。日本酒があまり得意でないというカメラマンも、最後まで飲み続けてしまう飲みやすさでした。
米子駅から徒歩3分という好立地ながら、創業当時の佇まいそのままに、28年にわたり地元の酒好きたちに愛され続ける居酒屋『庄屋』。もちろんすべてのお料理を頼んだわけもありませんが、これだけは自信を持って言い切れます。
ここは、何を食べても美味しいお店。
赤ちょうちん系の飲み屋が好きな飲んべえさんには、ぜひ足を運んでもらいたい名店でした。また必ず!
米子の居酒屋 庄屋
住所:鳥取県米子市明治町140 米子駅前パーキングビル1F MAP
URL:https://yonagonoizakaya-shouya.com/
Credit
Photo_Shuhei Nomachi
Text & Edit_Satoshi Yamamoto
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