2023.11.02
豊かな食文化を持つ日本。なかでも、地域性や食材を活かした郷土料理には、歴史と温もりを兼ねた大切な味が多くあります。 <ニッポンローカルの台所>第3回目は、これからのシーズンにぴったりな山形の郷土料理、『芋煮』をご紹介します。料理家・スゴウミサトさんによるお手軽レシピを参考に、ほっこり料理をご堪能ください。
料理家/スゴウミサト
とにかく見た目の美しさを追求する広告媒体でのフードコーディネイトから、味も映えも求められる撮影現場などのケータリングまで、あらゆるニーズに対応するプロフェッショナル。プライベートでのキャンプ好きも手伝い、アウトドアでの料理も大得意。
Instagram:@mee.sugo
『芋煮』に欠かせないのは、秋から収穫シーズンとなる里芋! 定番のこんにゃく、長ねぎに加えて、秋の味覚のごぼうときのこも入れて栄養満点に。材料の下準備をしたら、あとは鍋に入れて煮るだけなので、料理下手の人でもチャレンジしやすいのが魅力です。
■材料(3人分)
・里芋 400g
・牛バラ肉 300g
・こんにゃく 1枚(下ゆで済み)
・ごぼう 1/2本
・舞茸 1パック
・長ねぎ 1本
・醤油 50cc
・みりん 50cc
・酒 50cc
・水 1200cc
里芋の皮をむき、軽く水洗いをして半分に切ります。里芋の皮は繊維質があるので、きれいにむいて口当たりがなめらかになるよう心がけましょう。
ボウルに里芋を入れ、小さじ1の塩を振り、しっかりと塩もみをしてから水洗いをします。
※塩もみは、ぬめりを取るために必要な工程ですが、ぬめりが気にならずトロっとした食感がお好みの方は、水洗いだけでもOK。
こんにゃくは、特有のニオイがあるため、下茹で・アク抜きが必要ですが、今回は、市販のアク抜き済みのものを使って手間なく時短調理! カットは、スプーンでひと口サイズの大きさに。断面に凹凸感が出て、味が染み込みやすくなります。
ごぼうと長ねぎは水洗いをした後、食べやすい厚さで斜め切り。ごぼうの皮は栄養素が豊富なので、食感などが気にならない人は皮つきのままでも◎。
醤油・みりん・酒・だし汁と長ねぎ以外の食材をすべて鍋に入れます。舞茸は、包丁を使わずに食べやすいサイズの小房に分けて入れましょう。 次に牛バラ肉を入れて、里芋やごぼうなどの根菜類に火が通るまで、中火で10分ほど煮込みます。
TIPS!
今回使用する食材にはアクが出やすいものがあるので、煮込んでいる間は、こまめにアクを取るようにしましょう。アクは雑味の要因にもなるので、アク取りのひと手間が、美味しい『芋煮』を作るポイントです。
長ねぎを鍋全体に散らすように入れ、さっと火を通したら、具材たっぷりの『芋煮』の完成です! 長ねぎは生でも食せる野菜なので、最後に入れてシャキシャキ感を残し、他食材との食感の違いをお楽しみください。
鍋から立ち上る湯気と食材の旨味が凝縮された香りが食欲をそそる『芋煮』の出来あがり。
1600年代半ばに誕生したとされる『芋煮』は、現在もなお、「芋煮会」と称して、河原に鍋や材料を持込み、家族や友人と一緒に団らんの時間を過ごす食習慣として受け継がれています。地域や家庭によって具材や味付けの違いがあり、今回ご紹介した醤油×牛肉は内陸部、日本海側の庄内地域では味噌×豚肉を使うのだとか。
里芋などのメイン食材に加え、厚揚げや豆腐、シメにうどんを入れて食べ応えと満足度の高い一品に仕上げることもできる『芋煮』は、温かいものが食べたくなるこれからの季節に持ってこいのほっこり郷土料理です。
Credit
Photo_Shuhei Nomachi
Text_Sayaka Miyano
Edit_Satoshi Yamamoto