2023.10.02
日本全国津々浦々。ところ変われば食も変わるということで、まだまだ国内にも、知らない郷土料理がきっとあるはず。そんな各地に伝わるローカルフードを味わうため、料理家スゴウミサトさんを招聘。プロの手腕に頼りきり、なるべくお手軽なレシピに噛み砕いて紹介します。秋も本番の今回は、サンマをまるっと炊き込んだ岐阜県の郷土料理、『さよりめし』をお届け。日本5大名飯のひとつにも数えられる、季節の恵みを召し上がれ。
料理家/スゴウミサト
とにかく見た目の美しさを追求する広告媒体でのフードコーディネイトから、味も映えも求められる撮影現場などのケータリングまで、あらゆるニーズに対応するプロフェッショナル。プライベートでのキャンプ好きも手伝い、アウトドアでの料理も大得意。
Instagram:@mee.sugo
目次
まさに青魚たるブルーの色味が美しい、サンマを主役とした炊き込みご飯、『さよりめし』。関東では知らない人も多いかもしれませんが、1939年に宮内庁から『日本5大名飯』に指定されたという、格式高い郷土料理です。使用する食材も少なく比較的シンプルなので、料理が苦手な方でも取っつきやすいかも。
■材料(2〜3人分)
・サンマ 2尾
・米 3合
・生姜 1片
・三つ葉 適量
・かぼす 適量
・醤油 大さじ3
・みりん 大さじ3
・酒 大さじ3
・水 470cc(8号土鍋)
『さよりめし』は、岐阜県可児市を中心に伝わる郷土料理で、昭和14年には宮内省の全国郷土料理調査で「日本五大名飯」のひとつに選ばれた由緒ある料理です。ほかには「うずめめし(島根)」「深川めし(東京)」「忠七めし(埼玉)」「かやくめし(大阪)」などが並び、地域性豊かな炊き込みご飯として評価されてきました。「さより」とは実際にはサンマのこと。内陸部では細長い魚を総称してそう呼んでいたことから、この名が付いたとされています。秋の収穫を祝う際に食卓に並ぶ特別なごちそうであり、地域の風土や歴史を語る一品です。
脂ののったサンマを丸ごと1尾使い、土鍋でふっくらと炊き上げる『さよりめし』は、秋の味覚を存分に楽しめる郷土料理です。土鍋で炊くことで、サンマの旨味がじっくりと米に染み渡り、香ばしい皮の風味とともに五感で味わうことができます。旬の新米と合わせると、より一層素材の良さが引き立ちます。内臓を取り除き塩焼きにしたサンマを使うことで、臭みもなく、魚のうまみだけが残るやさしい味わいに。
まずはぶつ切りでサンマをカット。次にハラワタとエラを取り、しっかりと血を洗い流してから、キッチンペーパーで水分を拭き取ります。
普段はワタが好きな方でも、炊き込むとご飯にまで苦味が移ってしまうので、ここは取っておくのがベター。
お願いすれば魚屋さんやスーパーでも下処理してくれるので、内臓や血が苦手な方は、遠慮なくプロの力に頼りましょう。
魚焼きグリルで、少し焦げ目が付く程度にサンマを焼く。サンマを焼かずに炊き込む方法もありますが、スゴウさんのオススメは焼きありパターン。香ばしさがグッと高まるうえ、パリッとした皮の食感も楽しめます。
サンマの臭みを消して風味を際立たせる生姜は、食感も楽しめるようにせん切りで。米、水、調味料を加えた土鍋の上にまぶします。土鍋がない方やもっと簡単に作りたい方は、炊飯器でもOK。
生姜をまぶしたら、1番上にサンマを投入。美しさも意識しながら、重ならないように並べます。
TIPS!
お米は必ず、最低でも30分ほど水に浸してから火にかけること。わずかなひと手間ですが、これをやるとやらないとだと、ご飯の仕上がりが段違い。ふっくら柔らかな食感をお楽しみください。
『さよりめし』を土鍋で炊く際のコツは、炊き始めは強火で一気に沸騰させ、沸いたら弱火でじっくり加熱すること。サンマはあらかじめ塩焼きにすることで、香ばしさが加わり、ごはんとの一体感が生まれます。土鍋ならではの遠赤外線効果により、芯までふっくら炊きあがるごはんは格別です。一方で炊飯器を使えば、手軽に失敗なく仕上がるのが魅力。炊飯器でも香ばしさを再現したい場合は、焼いたサンマを最後に加え、蒸らし工程で旨味を閉じ込めるとよいでしょう。どちらも一長一短、好みに合わせて選ぶのがおすすめです。
鍋を火にかけたら、沸騰するまでは中火。沸騰して湯気が立ったら弱火に落とし、水気がなくなるまで10分〜15分ほど炊き込みます。水気が飛んだら火を切り、10分ほど蒸らせば炊きあがり。
おこげが欲しい方は、火を切る前に10秒ほど強火にかけると◎。
パカッと開ければ、芳しい秋の香りが。最後に三つ葉と輪切りのかぼすを加えれば、岐阜に伝わる郷土料理、『さよりめし』の完成です。
焼きサンマならではの香ばしさの中に、三つ葉とかぼすの凛とした爽やかさが際立つマリアージュは、まさに高貴。かの宮内庁により『日本5大名飯』と認められた、由緒正しき逸品をお召し上がりくださいませ。
Credit
Photo_Shuhei Nomachi
Edit & Text_Satoshi Yamamoto
▼関連記事