2025.07.11
日本全国津々浦々。さまざまな土地で、さまざまな趣向を凝らして作り出される地ビール、つまりクラフトビール。静岡県は伊豆市修善寺のブルワリーを拠点とする『ベアードビール』も、そんな日本のクラフトビール文化を古くから牽引してきた存在のひとつです。今回の「CRAFT BEER TRIP」は、そんな修善寺産ビールの関西拠点、『ベアードビールベースステーション関西』を訪問。その故郷から遠く離れた大阪の地で、どんな風に楽しまれているのか、現地の空気とともに味わってきました。
目次
大阪市内でも屈指の飲み屋街、天満エリア。今回の目的地は、その天満の中心地から通りを挟んだ路地裏に居を構える『ベアードビールベースステーション関西』。かつて本メディアでも取材した『ベアード・ブルワリーガーデン修善寺』で醸造されたクラフトビールを取り扱う、関西唯一の直営店です。
店内では、カウンター後ろに設置されたタップから注がれる、修善寺直送の生ビールを常時16種類提供中。定番銘柄はもちろん、季節ごとの限定ビールもこまめに入れ替わるとのことなので、訪れるたびに新しい出会いがありそう。2020年1月のオープン以来、異国の地のクラフトビールが楽しめるスポットとして地域で愛される、路地裏の隠れ家的な人気店です。
「当店が他の『ベアードタップルーム』と違うのは、ただビールが飲めるというだけでなく、私たちスタッフの営業所であり、さらに配送センターでもあるというところ。要するに、関西における『ベアードビール』のすべてが詰まったエリア拠点なんです」。そう話すのは、『ベアードビールベースステーション関西』責任者の石田さん。
「レストラン機能も備える他店舗と違って、うちはほとんどフードがありません。だからその分ビールそのものに集中できると、クラフトビールファンの方々からは好評いただいています。フードなしで気軽にお楽しみいただけるので、仕事帰りに軽くとか、ランチ後にふらっと1杯とか、ライトな使い方をしていただくケースも多いですね。またしっかり食べたい方は、フードの持ち込みも大歓迎。天満ならではのローカルグルメと一緒に楽しんでもらえると嬉しいです。手ぶらで来られた方も、近所のお好み焼き屋さんや天ぷら屋さんなど、付き合いのある飲食店さんから届けてもらうことも可能なのでご安心を。そういった地域との繋がりも、この場所らしくて良いですよね。月イチくらいのペースで他店さんを招いたフードコラボイベントもやったりしているので、詳しくは当店のINSTAGRAMをチェックしてみてください」。
「うちでは常に16種類の銘柄を提供していますが、定番物は欠かさず揃えていて、そこに季節限定の銘柄を順繰り入れ替えていくカタチ。常連さんの中には、今日はなにが飲めるかな、と楽しみに来てくれる方も多いです」と石田さん。
ここではそんな『ベアードビール』の定番銘柄の中でも、特に人気の6種類をご紹介。それぞれHESTA LIFE storeでも取り扱いのある銘柄なので、石田さんのおすすめコメントを参考に、お好みの1杯をご検討あれ。
※グラスは〈3種飲み比べセット〉用のミニグラス。
左〈ライジングサン ペールエール〉
数ある『ベアードビール』の中でもフラッグシップ的な存在。爽やかなホップの香りと、モルトのコクとのバランスが絶妙。「迷ったらまずはこれ。最初の1杯にもおすすめですし、僕自身も1番よく飲んでます」。
中〈帝国IPA〉
モルトの甘みとどっしりした苦みが共存する、英国スタイルのIPA。ホップが主体のアメリカンIPAとはひと味違う奥深さが魅力。「アメリカのIPAに比べると、ホップが控えめで飲みやすい。麦芽のうまみを味わってください」。
右〈黒船ポーター〉
チョコやコーヒーを思わせる、香ばしい甘みが印象的な黒ビール。見た目よりも軽やかで、初心者にもおすすめのやさしい味わい。「見た目ほど重くないので飲みやすい。黒ビール初心者にもおすすめ」。
左〈わびさびジャパン ペールエール〉
静岡県産の緑茶とワサビを使った個性派。口に含んだ瞬間にふわっと香るワサビのニュアンスと、後口に感じるお茶の渋みがクセになるとか。「ワサビと言えど辛くはなくて、香りと余韻が面白い1本です」。
中〈修善寺ヘリテッジヘレス〉
ドイツ伝統のヘレススタイルを継承した、すっきり爽快なラガータイプ。クセが少なく、クラフトビール初心者にもぴったりです。「軽やかな口当たりでクセも少なめ。クラフトビールビギナーの方にも◎」。
右〈ウィートキングウィット〉
健やかな清涼感とフルーティーさが広がる、親しみやすい味わいが特徴。「小麦を主役としたベルギースタイルのホワイトエール。ホップは軽めでフルーツのようなフレーバーが際立つ、女性にも人気の1杯です」。
フードは基本持ち込みスタイルだけれど、いわゆる乾きもの的なおつまみだけはご用意あり。中でも特に名物的な人気を博すのが、こちらの2点。『ベアードビール』の本拠地である伊豆で獲れた鹿肉を使った〈鹿肉ジャーキー〉と、同じく伊豆仕込みの〈スモークナッツ〉。秘伝のレシピで作り上げた味わいは、どちらもビールと相性抜群。ライトスナックだからと油断してポリポリつまんでいると、ついもう1杯、ついついもう1杯と、ビールの無限ループへと誘われてしまうこと請け合いです。
そのほか、店内では各種オリジナルボトルビールに加え、Tシャツやワークシャツ、キャップなどのオリジナルグッズも販売中。アメリカの老舗ワークブランド製のアイテムをベースにした、ファッションアイテムとしても完成度の高いグッドデザインをお見逃しなく。
大阪ローカルグルメやオリジナルスナックをつまみながら、初見のビールを飲み比べたり、お気に入りの銘柄をじっくり味わったり。そんな自由な楽しみ方で、ワンアンドオンリーなクラフトビールと向き合える『ベアードビールベースステーション関西』。飲み歩きの街として知られる天満エリアの路地裏で、修善寺生まれのビールが楽しめるという意外性も、この場所ならではの魅力です。
「うちがあるのは、いわゆる裏天満と呼ばれるワチャワチャ系のエリアからは少し外れた、静かな路地裏。そんな立地だからこそ、落ち着いて『ベアードビール』のクオリティを感じてもらえるような場所でありたいと思っています。ただ飲むための場所というより、あくまでビールの美味しさを味わうためのテイスティングルームとして使ってもらえたらうれしいですね。そういった中で、地元とのゆるやかな関わりも大切にしながら、これからももっと多くの人に『ベアードビール』の魅力を伝えていけたらと思っています」。
クラフトビールをきっかけに、人と街がふんわりつながる場所。『ベアードビールベースステーション関西』は、そんな穏やかにクラフトビールと向き合えるテイスティングルームとして、今日もゆるやかに、みなさんの訪れを待っています。
ベアードビールベースステーション関西
住所:大阪府大阪市北区浪花町3-2 1F MAP
URL:https://bairdbeer.com/ja/pages/base-station-kansai
Credit
Photo_Ryo Sato
Text & Edit_Satoshi Yamamoto
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