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2024.03.01

旅先でクラフトビールを巡る! 透明の升に惹かれて富士吉田のブルワリーへ

「訪れた各地でブルワリーを巡る」。ビール好きにとっては、これも旅の楽しみ。今や国内には800以上のブルワリーが存在し、どこへ旅にしてもその土地のビールと出会うことができます。そんな中で今回出会ったのは、富士吉田のマイクロブルワリー『BRIGHT BLUE BREWING』。透明の升に注いだビールをいただきつつ、醸造家・菊地 望さんの取り組みをお伺いしてきました。

2021年オープン。富士山の麓のマイクロブルワリー

側壁についたタップから透明の升に次々と注がれていくビールを目にしてつい溢れるのは、「カッコいい」「オシャレ」といった言葉。ビールを升で飲める所はあるかもしれませんが、透明の升でビールのキレイな色合いをみながら飲めるのは、国内でもここだけかもしれません。
『BRIGHT BLUE BREWING』は、山梨県富士吉田市にある氷屋の氷室をリノベーションした複合施設『FUJIHIMURO』に、2021年1月にオープンしたマイクロブルワリーです。
富士山の水、地元のホップ、果物などを使用したビールを、施設内にある醸造所で製造。土日祝日は併設するタップルームや店頭のスペースでクラフトビールを飲むことができ、ネットストアや『道の駅富士吉田』などでも、その特製ビールを販売しています。ぱっと見ではビールと思えないほどエレガントな、750mlボトルビールは一見の価値ありです。

同じ味を2度は作らない。どの味も飲めるのは今だけ

「ウチには定番の味がありません。毎年作るビールもありますが、その時々で改良を加えているので、同じ味は2度と作らないことがほとんどです」。
そう話すのはビールの製造を一手に担う醸造家の菊地 望さん。『BRIGHT BLUE BREWING』のビールは、基本的に菊地さんが飲みたいものを作るというスタンス。特定のビールをイメージしたり、型にはめたりするのではなく、「これとこれを組み合わせたら美味しそう」という自由な発想で作られたビールは、ひとひねり効いた味が多いそうです。

食中酒として味わえるビールを提案

「自分が飲みたいと思って作った味に対するお客様の反応をみるのが楽しみな反面、怖さも感じます。でも、それが醍醐味ですよね」とビールづくりの面白さを伝えてくれた菊地さん。元々は着付けの先生で、和食を勉強して日本料理店で修行を積んだこともあるそうです。
また、ワインやウイスキー、テキーラなど、様々なお酒に幅広く精通。『BRIGHT BLUE BREWING』ではこれまで培ってきた経験と知識を活かし、ワインのように食中酒として味わえるビールを提案しています。
「オシャレをして飲みに行くビールがあってもいい。ビールの香りを繊細に感じ取りながら食事とともに味わってほしい」という想いでビールづくりに取り組んでいます。

クリア升に注いだ5種類のクラフトビールを飲み比べ

話を聞いていたらやはり飲みたくなるもの。『BRIGHT BLUE BREWING』では、冒頭で紹介した透明の升で5種類のクラフトビールを飲み比べすることができます。
この日のビールは、〈夜空と森のヴァイツェン〉、〈おれっちのフレッシュホップビール2023 富士山ホップ〉、〈フロストIPA〉、〈ピーチエール〉、〈ハラペーニョ セゾン〉の5種類。
透明の升だから色や透明感の違いがわかりやすく、ビールが並ぶのを眺めているだけでも楽しめます。

縁ギリギリまで注いでもらった升からビールがこぼれないように、そっと持ち上げて飲み比べ。升を顔に近づけると、それぞれ異なる特徴的な香りが。飲む前に香りを感じ取って楽しむ時間です。中でも特に「ピーチエール」は、少し顔に近づけただけで桃の甘い香りが漂ってきました。
香りを満喫したら、1種類ずついただきます。ホップの苦味が口に残るものもあれば、すっきりとした後味のビールもあり、種類ごとに味がはっきりと異なります。特に「ハラペーニョ セゾン」は、口の中に広がるハラペーニョの辛さが新鮮で、赤身肉やドリア、ラザニアなどを食べながら飲みたくなること請け合い。「食事をしながら味わってほしい」という菊地さんの思いが伝わる逸品でした。

富士吉田をビールとホップの街に

また菊地さんは、地元農家と手を組んで『富士北麓ホップ生産者組合』を設立。『富士吉田ホップのまちプロジェクト』を通じ、耕作放棄地などの広い土地を使ってホップ栽培に取り組んでいます。
栽培しているのは、山梨県の固有品種〈甲斐黄金(かいこがね)〉。これは、かつて山梨県でホップ栽培が盛んに行われていた時代に、突然変異で誕生した品種。その後、県内のホップ農家はほとんどなくなってしまいましたが、品種保存のためにひっそりと栽培は続いていたそう。
『富士吉田ホップのまちプロジェクト』では、そんな〈甲斐黄金〉の栽培をもう一度盛んにし、富士吉田の産業のひとつとすることを目標に掲げています。栽培したホップはビールに使用するほか、「ビールを飲まない人たちにも口にしてほしい」と考え、ホップを使用したお団子やお餅をイベントで振る舞うなどもしています。さらに現在では、ホップを使用した〈IPA餃子〉も計画中だとか。

「この街は産業が少なくて就職先も限られているから、進学などで若い人たちが出ていくと戻ってこないんですよ。だから、ホップ栽培を富士吉田の産業にして、ホップ農家で食べていける環境を作りたいと考えています。この街をビールとホップの街にしたいんですよね」。

ビールを通じて女性の社会での活躍をサポートしたい

そのほかにも、ビールづくりを通じて様々な活動に取り組んでいる菊地さん。現在の活動の先にある目標も教えてくれました。

「女性がオシャレして行きたくなるビールのイベントをやりたいですね。既存のビールイベントは、やはり男性がメインターゲットの場合が多いですが、女性が女性らしく楽しめるイベントがあってもいいはず。そういったお店づくり以外の提案もしていきたいと思っています。
あとは、ビールを女性の社会的な活躍をサポートするひとつの道具できないか、とも考えています。これはもっと広い想いになってしまいますが、私は常々、今よりさらに女性が活躍できる世の中になるべきだと思っています。そのためにビールが貢献できることもあるんじゃないかな、と。
例えば、社会的に自立している女性が自分へのご褒美として、少し贅沢なビールを飲みに行く場所を提供する。そこには今までにない体験があり、その体験を共有することで自立した女性同士の出会いが生まれ、これまでになかった新しい輪が広がる。ビールには本来、そういった人と人を繋げるパワーがあるし、飲みながら話すことでアイディアが発展したり、誰かに背中を押してもらえたり、次のステップに進むためのきっかけになることもあると思います。
そういったビールを通じて人が繋がり物事が発展していくような、クリエイティブな場所づくりを実現したいですね」。

業界の固定概念にとらわれず、女性ならではの視点と新しいアイディアでビールづくりに臨む菊地さん。
そんな熱い想いを抱いた女性醸造家のビールを、みなさんもぜひ一度味わってみてはいかがでしょう。


BRIGHT BLUE BREWING
住所:山梨県富士吉田市富士見1丁目1-5 MAP
Instagram:https://www.instagram.com/brightbluebrewing/


Credit
Photo_Taijun Hiramoto
Text_Kango Shimoda
Edit_Satoshi Yamamoto


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