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TRAVEL 旅行

2024.07.05

気仙沼で漁師を応援する『鶴亀の湯・鶴亀食堂』:銭湯と食堂で地域の笑顔を紡ぐ

地方と都市を結ぶため、全国のローカルカルチャーにクローズアップする本サイト編集部員が、旅先で見つけた情報とその魅力をお届けするシリーズ企画。今回は、気仙沼港のすぐ目の前で漁師を応援する『鶴亀の湯・鶴亀食堂』へ、『唐桑御殿つなかん』リポートに引き続き、水風呂ちゃんとお邪魔しました。店長の加藤広菜さんご案内のもと、その魅力をレポートしていきます。

気仙沼の『鶴亀の湯・鶴亀食堂』:漁師さんたちの水揚げに合わせ、朝7時から営業開始

JR気仙沼駅から車で約10分、気仙沼市魚市場のすぐそばにあるトレーラーハウス型の店舗集合型横丁『みしおね横丁』。この施設内には、BARやメキシカン料理、沖縄料理、インドネシア料理、ラーメン店など、気仙沼でもここでしか味わえないような個性的なお店が集まっており、その一角に『鶴亀の湯・鶴亀食堂』があります。

営業は朝7時から。地域で唯一、朝から営業している魚市場前の銭湯&食堂として、漁港の漁師はもちろん、地元の人から観光客まで、浜のお母さんたちが温かくお出迎えします。気仙沼を訪れる際には、漁師町ならではの温かいもてなしを体験できる場所として、『鶴亀の湯・鶴亀食堂』を訪れてみてください。

早速“ゆ”の暖簾をくぐり、『鶴亀の湯』へ向かう水風呂ちゃん。こちらは中古のトレーラーハウスを改造した銭湯で、浴室の壁には1976年に行われた「気仙沼みなとまつり」を描いたペンキ絵が掲げられ、海の安全と大漁を祈願する神棚も設置されています。気仙沼の漁師たちにとって、ここは日々の疲れを癒すオアシスであり、彼らの活躍を支える重要な場所です。
※撮影のために水着を着用して入浴しています

鶴亀食堂で味わう、新鮮な魚定食:漁師も通う気仙沼の食堂

ひとっ風呂浴びた後は、隣の『鶴亀食堂』でランチタイムです。ここでは、気仙沼港で獲れたばかりの新鮮な魚を使った定食を楽しむことができます。漁師たちも通うこの食堂では、町の情報や魚の話をスタッフと共有しながら、地元の味を堪能できます。

この日、水風呂ちゃんがオーダーしたのは、気仙沼港で水揚げされた新鮮なメカジキのカマ煮と、鰹のお刺身がセットになった「よくばり定食」。メカジキのカマ煮は、何度も繰り返し使用している秘伝の“かえしタレ”が美味しさの秘訣。「まるで角煮のように脂がのっていて、食べ応え抜群です!」と水風呂ちゃんも大満足。さらに、鰹のお刺身は宮崎の鰹一本釣り船が使う甘口醤油「カツオ船醤油」でいただくのがオススメです。

他にも、気仙沼の新鮮な魚を使った〈ソースカツ丼定食〉や〈三陸めかぶと納豆の丼〉、〈日替わり定食〉など、ここでしか味わえないメニューが揃っています。Tシャツや漁師カレンダーなどのユニークなグッズも販売されているので、気仙沼を訪れた際はぜひチェックしてみてください。
※メニューは水揚げ状況や季節によって内容が変わります

日本一漁師を応援する町・気仙沼を目指して:『鶴亀の湯・鶴亀食堂』の挑戦

『鶴亀の湯・鶴亀食堂』は、温かいお風呂と美味しいご飯で漁師たちをもてなし、気仙沼が日本一漁師を応援する町になることを目指しています。その背景には、2011年の東日本大震災による被災が大きく影響しています。

「元々この地域には『亀の湯』という明治から続いていた銭湯がありましたが、震災後、防潮堤工事の影響で立ち退きを余儀なくされ、廃業しました。これにより、漁師たちが陸に上がった時にゆっくり疲れを取る場所がなくなってしまいました。そこで、地元の助成金や寄付金、クラウドファンディングを通じて『鶴亀の湯』を開業し、漁師を全力で応援する場所として『鶴亀食堂』を併設しました。」と、運営者の加藤さんたちは語ります。

気仙沼は三陸漁場を目の前に持つ日本有数の漁港で、気仙沼港で水揚げされる魚は年間74,000トンにも及びます。この漁師たちが命懸けで獲ってくる魚が、気仙沼という町を支えているのです。『鶴亀の湯・鶴亀食堂』は、漁師への感謝と敬意を込めて、日々奮闘しています。

地方移住で気仙沼に根付く:『鶴亀の湯・鶴亀食堂』が笑顔を紡ぐ町への恩返し

鶴亀の一員として漁師を全力で応援する店長の加藤さんは、実は他県からの移住者です。彼女が気仙沼に移住し、町の一員として活動することになった背景には、町への恩返しの気持ちがありました。

「元々住んでいた町で少し心が苦しい時期があり、気仙沼にいる兄から誘われて来たのが最初でした。最初はただの流れでしたが、現地で様々な人と交流し、心が軽くなるのを感じました。その時、兄や町の人々から『移住しちゃえば?』と言われ、自然と気仙沼に移住することを決めました。」

移住後も現実とのギャップをあまり感じなかったと言います。「交通手段の少なさや物資の不便さを嘆く声もありますが、それ以上に気仙沼には温かい人との交流があります。この町が教えてくれた笑顔の嬉しさが、私の心を癒してくれました。」

現在、加藤さんは町の一員として漁師を応援し、気仙沼への恩返しをしています。彼女が働く『鶴亀の湯・鶴亀食堂』は、いつも笑顔が溢れる場所であり、気仙沼を元気にする場となっています。気仙沼を訪れる際は、ぜひ『鶴亀の湯・鶴亀食堂』で心地よいお風呂と美味しいご飯、そして温かい笑顔に触れてください。

鶴亀の湯・鶴亀食堂
住所:宮城県気仙沼市魚市場前4-5 みしおね横丁内 MAP
URL:https://kesennuma-tsurukame.com


Credit
Photo_Shuhei Nomachi
Text_Takuya Kurosawa
Edit_Satoshi Yamamoto


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