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TRAVEL 旅行

2024.06.07

カフェとブルワリーが共存する
ヘアサロンという名の溜まり場

日本全国各地に散らばる伝統や銘品、文化などを掘り下げながら、そこでしか出会えないモノ、ヒト、コトをご紹介する本企画。今回クローズアップするのは、東京多摩市にあるへアサロン『TAMA tumuji WERKS.』。写真はオーナーの市川 格さんと奥さん、そして過去記事でも何度かご登場いただいた、市川さんの同級生でアーティストの須田さん。敷地内にはカフェやブルワリーが併設するなど、ヘアカットだけにとどまらないそのユニークな魅力にせまります。

ヴィンテージマンションを改装した広大なスペース

小田急・京王永山駅から徒歩13分。団地や住宅が立ち並ぶエリアに、突如現れるブルーとホワイトの外観。ここが今回クローズアップするヘアサロン『TAMA tumuji WERKS.』。入り口には、併設するカフェ『PARLOR』の看板、窓からはビール醸造所のタンクが見えます。

扉を開けると、外観からは想像できない広大な空間が。ウッドと白とグレーを基調としたモダンな佇まいのこちらが、併設するカフェスペースとなっています。元々は、座敷席まであった広い町中華だったそうで、8割ぐらいを自分たちで解体したとか。そしてヘアサロンは何処かというと、実はカフェの奥にあります。またマンション脇にあるテラス席からの入店口もあり。
まるで隠れ家のようなサロンはプライベート感もあり、髪をカットするだけでなく、一人ひとりのお客さんとのコミュニケーションも大切にしています。元々カフェとヘアサロンの位置は逆だったそうで、2023年のリニューアルを機に、今のデザインが完成しました。

理と美で選べるヘアカットスタイル

『TAMA tumuji WERKS.』では、理容と美容からヘアカットのスタイルが選べ、市川さんが理容師、奥さんが美容師を担当し、幅広いお客さんから愛されています。市川さんもキャリアのスタートは美容師でしたが、10年間美容師として働いた後、そこから学校などを行き直し、3年修業して理容師の資格を取ったそう。

「理容を目指したキッカケは、ファッション雑誌などで活躍していたスタイリストの岡部文彦さんたちが立ち上げた外遊び集団の『バリカンズ』に憧れがあって。直接的に髪を切るということには繋がっていないのですが、頭を刈り上げる理容器具『バリカン』から名付けた屋号と彼らの魅力が相まって、理容師ってカッコイイかもという想いが湧き上がったんです。その勢いのまま理容資格を取りに行きましたね」。

1杯のサービスから始まったカフェづくり

併設するカフェ『PARLOR』では、コーヒーやさまざまなお菓子が楽しめます。写真は奈良のロースターの豆を使ったアイスコーヒーや、なめらかな舌触りのチーズケーキ、ナッツがごろごろ入ったホワイトチョコチャンククッキー。ほかにも、チョコレートブラウニーやバナナブレッドなどのメニューもあり。いちから手作りにこだわった本格的な味わいは、地域のみならず近隣の方も足を運ぶほどの人気ぶり。そんなカフェ事業は、実はヘアサロンのサービスドリンクが始まりだとか。

「パーマやヘアカラーでの待ち時間に出すサービスドリンクを、せっかくなら美味しいものを飲んでいただきたいなと。家庭用でいちばんいいエスプレッソマシーンを用意し、豆は当時よく通っていた幡ヶ谷のカフェ『パドラーズコーヒー』で販売していたものを買って提供していたんです。自分たちの空間に人が来てくれることが、ただただ嬉しくて」と市川さんは笑う。感謝の意を込めて振舞っていたサービスドリンクをキッカケに、現在はカフェという形で訪れたゲストをもてなしています。

醸造所を構えたオリジナルのクラフトビール

ヘアサロン、カフェに続き、現在は新たにビール醸造所を設置し、オリジナルのクラフトビール『Bierernst』もリリース。残念ながら取材時は発売前だっため、写真は醸造所のみ。カフェのすぐ隣にステンレスのタンクがずらりと並び、出来立てをいただけます。

オリジナルのほかに、奥多摩町のクラフトビール『VERTERE』も提供中。黄金色に輝くこちらは、〈ナビアリア〉という銘柄のベルジャンホワイトスタイル。爽やかな柑橘にほのかなスパイスを感じるスッキリとした飲み口で、これからの季節にぴったりです。全5タップをラインナップ。

人と人がつながっていくハブ的な溜まり場

髪を切ったり、お茶をしたり、ビールを飲んだり。ひとつの業態に縛られない自由なスタイルでさまざまなサービスを拡充していく『TAMA tumuji WERKS.』。市川さんが目指しているのは一体何かと訪ねてみました。
「詰まるところ、人とつながれる場所をつくりたいんだと思います。本業でも、髪を切るだけの行為よりも、髪を切りながら人と話すのが好きですし。だからカフェやビールというのは、突発的なアイディアのひとつでしかなく、根本にはただ出会えた人と楽しくおしゃべりしたいだけなのかもしれませんね。
須田をはじめ友人たちとここで集まったり、話したりするのと同じように、お客さんも含めたみんなの溜まり場みたいな感覚で店をつくっていけたらと思っています」。

そうして集った人と人がつながり、ここからまた新しい出会いが生まれています。まだまだこの先の発展も見逃せない『TAMA tumuji WERKS.』。都心からすぐの緑豊かなローカルタウンで見つけた、心地よい溜まり場にぜひ足を運んでみてください。

TAMA tumuji WERKS.
住所:東京都多摩市諏訪1-9-4 MAP
Instagram:@tama_tumuji_werks


Credit
Photo_Taijun Hiramoto
Text_Takuya Kurosawa
Edit_Satoshi Yamamoto


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