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2023.11.21

近江牛生産の老舗『澤井牧場』で畜産業のリアルを紐解く

日本全国各地に散らばる伝統や銘品、文化などを掘り下げるOMUSUbee。今回は、カレーやステーキ肉など、OMUSUbee storeでも取り扱いのある滋賀県生まれのブランド牛、「近江牛」にクローズアップ。こちらの記事でもご出演いただいた吉野ファミリーと共に、生産、加工、販売と、異なる3つのカテゴリーで特集します。まずはその第1弾として、すべての原点となる生産地、つまり近江牛の牧場からお届け。

近江牛の発祥地に居を置く創設約50年の老舗牧場

澤井牧場 取締役/澤井弘喜さん

「お客様に、また食べたいと思っていただけるような、とにかく美味しい牛肉を作りたい」というシンプルな想いを胸に、これからの『澤井牧場』を担う3代目。築き上げられた伝統を残しつつ、時代の流れを察知した新たな挑戦にも余念がない。近江牛にまつわる各種品評会での受賞歴も多数。

牧場見学の前に、まずは座学で基礎知識をお勉強

普段は取引業者向けに牧場見学を行っている『澤井牧場』ですが、今回は特別に、キッズ2人に向けて見学を実施してくれた澤井さん。まずは本社建屋にて、スライドショーによる座学からお勉強。
「ブランド牛もいろいろありますが、『近江牛』という呼称が生まれたのが、今から約400年以上前のこと。文献によれば、江戸末期、彦根藩から江戸の将軍家にも献上されていたという記述が残っていて、日本最古の和牛と言われています」と澤井さん。さらに『澤井牧場』の創業から現在に至るまでの道のりや、いま挑戦している新たな取り組みなど、貴重なお話を聞かせていただきました。
7歳のタオちゃんと3歳のたいたいには難しい内容もある中、早く牛さんに会いたいという気持ちを押さえながら、最後までジッと座ってお話を聞いていた2人。エラい!

高級ブランド和牛がひしめき合う牛舎に潜入

座学の次は、実際の飼育現場である牛舎を見学。あの高級和牛がズラッと並ぶ光景は、まさに壮観! 澤井さん曰く、「このエリアでは、素牛として仕入れてきたばかりの、若い牛たちを集めて飼育しています」とのこと。素牛は大体が南九州産で、月齢にして10ヶ月未満の雌牛を、秘伝の目利きによって選別しているそう。
牛たちはここで6ヶ月ほど飼育してから、また別のエリアに移される。「成長段階によって餌を変えているので、月齢でエリアを区切っているんですよね。特にウチの場合は自社で飼料プラントを所有しているので、卸先さんからのフィードバックや、その時々の牛の状態に応じて、餌の配合を細かく調整することが可能です」。

早く牛さんが見たかったタオちゃんとたいたいも牛舎を見学。待望のご対面でテンション爆アガり! かと思いきや、想像以上の大きさに初めはちょっとビビり気味。それでも果敢に触りにいくたいたいの姿に、大物の片鱗がチラリ。触発されて、タオちゃんも上手に藁をあげることに成功しました。
ちなみに『澤井牧場』は、『公益社団法人中央畜産会』が定める衛生管理や持続可能な農場運営にまつわる規準『農場HACCP』の認証を、国内一般事業社の中でも指折りの早さで取得済み。そのため見学者であっても、除菌済みの白衣と長靴を着用するのがルール。
また農畜産業の世界基準である『GAP』の日本版『JGAP』についても、国内で7番目、滋賀県内ではどこよりも早く取得したそう。

デジタル機材の導入で畜産業もIoT化

『澤井牧場』の未来を担う3代目として、新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいという澤井さん。その試みのひとつが、こちらの牛さんの首に掛けられたバンド先端の黒い筐体。
実はこれ、気圧センサーや振動センサーなどを備えたデジタルデバイスで、もしも牛が転倒した場合などの異常を感知すると、連携するスマートフォンにアラートを送ってくれるという優れもの。牛の姿勢や行動、食事回数なども認識できるため、日々の体調チェックにもひと役買っているという。
「正直、現在の代表である私の父親は、初めは導入に懐疑的でした。単純に世代間によるデジタルリテラシーの差ではありますが、いくら昔ながらの畜産業とはいえ、これからの時代はこういった最新機器も積極的に取り入れていく必要があると、個人的には考えています」。

さらに大きく国内外に羽ばたく『澤井牧場』の新時代

近江牛の中でも『澤井牧場』のオリジナルブランド、『澤井姫和牛』の刺しゅうが入った澤井さんの特製コート。「今後の目標としては、飼育数を3500まで増頭すること。そして国内はもとより、もっと海外の方々にもウチの『澤井姫和牛』を食べてもらいたい。そのために、イスラム法に則って生産されたものであることを証明する『ハラール認証』も取得しているんですよ」。

澤井さんが語ってくれた「もっと多くの方にウチの牛を食べていただきたい」という思いを具現化するため、2023年1月には、東京西麻布に自社ブランドの精肉店『澤井牛 西麻布店』もオープン。本記事を読んで興味津々の東京近郊の方は、是非一度訪れてみてはいかがでしょう。

創業50年を越える不動の老舗の中にあってして、3代目である澤井さんを中心に新たな時代へ挑戦する『澤井牧場』。日本の畜産業に新風を巻き起こすその動きに、OMUSUbeeは今後も注目していきます。

澤井牧場
住所:滋賀県蒲生郡竜王町山之上4092 MAP
URL:https://www.sawai-bokujyo.jp/

Credit
Photo_Yozo Yoshino
Edit & Text_Satoshi Yamamoto


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