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TRAVEL 旅行

2024.04.04

伝統と革新が交錯するアートなお宿
『湯季の郷 紫泉』の魅力を深堀り

ペインター/アーティストMHAK氏にフィーチャーした企画を軸に、複数回にわたってお送りしてきた会津旅の数々。今回は、その旅の拠点となった南会津は湯野上温泉の民宿、『湯季の郷 紫泉(しせん)』にクローズアップ。宿主を務めるのは、アーティストコレクティブ『81 BASTARDS』にも所属するDJ/トラックメイカーnovsemilongこと、鹿目信和さん。その個性と世界観が凝縮された、唯一無二の魅力をお届けします。

エントランスとロビースペースだけで早くも圧巻!

会津若松の中心地から南下すること約40分。自然豊かな阿賀川の渓谷沿いに広がる湯野上温泉に、今回のターゲットである民宿『紫泉』があります。
前述のとおりここの宿主を務めるのは、novsemilong名義で音楽業界でも活動する鹿目信和さん(ご本人の詳しい紹介記事はこちら)。DJ/トラックメイカーとして『81 BASTARDS』にも所属する傍ら、代々続く家業を継いだ6代目です。間を取り持ってくれたMHAKさんからは「ヤバい宿があるんで」と事前に聞かされていましたが、エントランスから既に、その言葉の意味が理解できました。
まず目に飛び込んできたのは、宿の外壁に大きく描かれたMHAKさんのグラフィック。さらに建物右側の入り口のガラス扉の中には、同じく『81 BASTARDS』所属のアーティスト、JUN INOUE氏の巨大なアートワーク。目線を左に向ければ、開放感のある大窓から、UFO型のハンモックチェアと〈ファントムチェア〉が据えられたモダンな空間が。なるほど、これは確かにヤバそうだ。期待に胸を膨らませ、エントランスをくぐります。

中に入ると、立体的な空間デザインと、そこに描かれたJUN INOUE氏の巨大アートにまたびっくり。加えてロビー正面には、欄間さながらにMHAKさんのグラフィックが切り抜かれた木壁と読書スペース。さらに写真1枚めの階段を登った先にはMHAKさんの作品が飾られた茶室のようなワーケーションスペースもと、ロビーエリアから語りどころが多くて困るほど。
外から見えたくつろぎスペースには『カリモク60』のチェアが並べられていて、アートだけでなくファニチャーもこよなく愛する、宿主 鹿目さんの世界観がふんだんに感じ取れます。

廊下から部屋の中まで、至るところにアートが息づく

お部屋はご覧のとおりの和モダンなデザイン。畳は会津ブランド『史・季・再・彩』の和紙畳。床下には57度の源泉を贅沢にそのまま張り巡らせた温泉床暖房仕様ということで、部屋にいながら温泉の恵みが享受できるという仕組みになっています。
また布団カバーと浴衣にはMHAKさんのグラフィックが採用され、お部屋の要所には各種アートピースも展示。加えて、ともに書家としても活動していたという先代と先々代の作品も飾られていて、まさに伝統と革新が共存する設えに。
廊下にはこれまた巨大なJUN INOUE氏の作品もあり、その内観は、もうすべてを伝えきるのはムリなくらいにアートまみれ。

ここでしか味わえない、地元会津の食と酒

と、いかに『紫泉』がアートや内装デザインに特化しているかをお伝えしてきましたが、もちろん、お宿としての基本機能も大充実。食事の時間には、辛子にんにくを醤油に溶いていただく会津流の馬刺しや、地域の伝統食である苞豆腐と会津味噌の田楽味噌、地元阿賀川で捕れた岩魚の唐揚げ、ご近所農家さん直売の新鮮野菜のホワイトソースなど、ここでしか味わえない地元の味を提供してくれます。
またお食事スペースは、大人数でいただける大広間に加え、4名程度までのご家族単位でしっぽり楽しめる小部屋もあり。人数や用途に合わせて選べるように設定された、細かな気遣いも嬉しい限り。

お食事に関連して、もうひとつの『紫泉』こだわりもお見逃しなく。それが日本酒。ハマったらとことん追求するタイプだという鹿目さんの日本酒愛を反映した品揃えは、全日本酒ラバー必見。というわけで、この日のラインナップの中から特にオススメの会津産日本酒5銘柄を、鹿目さんのコメント付きでご紹介します。

左_『辰泉酒造/京の華1号』
「生産性の低さから姿を消してしまった幻の酒米『京の華』を復活させて生産している、会津でも限られた場所でしか味わうことができない、めちゃくちゃ希少なお酒です。ふくよかな酸味があって、すっきりしていて、本当にバランスの良い銘酒ですね」。

左中_『宮泉銘醸/冩樂』
「近年の会津の中で、最もキテるお酒じゃないですかね。なにせバランスが良くて、しっかりした酸味もあって辛味もあって、もちろん甘みもあって、本当に飲みやすい。どんな食べ物にも合うので、食事の最初から最後までこれ1本でイケてしまうような、そんなお酒です」。

中_『廣木酒造/飛露喜』
「おそらく会津の日本酒の中でも、今1番希少価値の高いお酒です。普通の小売店さんでは、ほとんど手に入らないと思います。呑み口は、とにかくスッキリしていて飲みやすくて、まさに日本酒の王道といった感じですね。飲み終えた時の鼻に抜ける香りも相当いいです」。

右中_『花泉酒造/ロ万』
「これは特に女性にオススメしたいお酒です。この5銘柄の中では、個人的に1番飲みやすいと思います。スッキリしているんですが、少しだけピリっとするような辛味もあって。フルーツのような芳醇な香りは食前酒にもいいし、お魚やお野菜とのマッチングも抜群です」。

右_『国権酒造/国権ブロンズラベル』
「個人的に1番好きな酒造さんで、僕の中では、ここのお酒は全部間違いないと思っています。中でもこのブロンズラベルは、あまり詳しくはないけど、これからもっと日本酒を好きになりたいとか、そういった方にオススメですね。日本酒の面白さが1番伝わりやすい銘柄だと思います」。

お湯の神様が住まう最高泉質の天然温泉を掛け流し

最後に紹介するのは、もちろんお風呂。“お湯の神様が住む”とも言われる湯野上温泉の源泉を、一切の加熱加水を行わず、文字どおり掛け流しで使用。純度100%の天然温泉は、温泉好きなら一度は必ず体験すべき泉質です。
木々に囲まれた露店風呂のロケーションも言う事なし。しかもこれが24時間いつでも楽しめるというんだから、まさに気分は極楽。
1日1組み限定の貸切風呂プランもあるとのことなので、この最高のお湯を家族やパートナーと独占したいという欲張り派はお早めに。

拠点にするだけじゃもったいないスペシャル宿

いかがでしたでしょうか、湯野上温泉の温泉宿、『湯季の郷 紫泉』。泉質最高水準の100%天然温泉に、地元食材をふんだんに使用したお食事、厳選の日本酒。そしてそれらを包み込む和モダンな建築と、そこにあふれるアート作品の数々。
伝統性と現代性が融合した空間は、ただの旅の拠点とするのではなく、ここを旅の目的地としても十二分なくらいに、隅から隅まで完成されていました。
音楽業界の最先端でも活躍する宿主・鹿目信和さんの洗練された世界観と、家業という伝統を継ぎさらに発展させていくための情熱が詰まった、南会津のスペシャルなお宿。みなさんもぜひ一度ご体感ください。


湯季の郷 紫泉
住所:福島県南会津郡下郷町湯野上832 MAP
URL:https://www.aizu-sisen.com/


Credit
Photo_Shuhei Nomachi
Text & Edit_Satoshi Yamamoto


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