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FOOD 食事

2024.03.08

会津のラーメン文化に新風を吹き込む『自家製麺HACHI』の挑戦

旅の楽しみといえば、やっぱりグルメは外せません。今回「アーティストMHAK氏と巡る会津の旅」で訪れたのは、会津若松市にあるラーメン店『HACHI(ハチ)』。こだわりの自家製麺を使ったラーメンが有名なお店で、実店舗だけでなくオンライン販売でも大盛況のあまりに店舗営業を一時ストップし、お取り寄せ販売メインで営業する「超」がつくほどの人気店です。そんな同店店主の平出さんにお話を伺い、MHAKさんとともに、看板メニューの醤油ラーメンを特別にいただいてきました。

所ジョージも絶賛!お取り寄せで話題の会津若松ラーメン『自家製麺HACHI』

会津若松駅から東へ約2km、飯盛山の麓にあるラーメン店『HACHI』。2019年オープンという会津では比較的新しいお店ながら、その名は全国のラーメン好きに知られています。
きっかけとなったのはテレビ番組で、以前より店主と交流のあったタレントの所ジョージさんが“毎月お取り寄せしているラーメン”として紹介。すると福島県内だけでなく隣県からも多くのお客さんが来店し、さらに全国からお取り寄せの注文が殺到する人気店となりました。
しかし、あまりの人気っぷりに製麺が追いつかず、2022年8月に一時閉店。あえてオンライン販売のみおこなう営業スタイルに切り替えたそうです(2024年2月より不定期で土日営業再開)。

中細ストレート麺と透明なスープの極み!『HACHI』の自家製醤油ラーメン

『HACHI』がお取り寄せ販売のみで勝負できる理由は、店主こだわりの自家製麺にあります。店内奥にある製麺室で、店主自らが作る自家製麺は、数種類の小麦粉を独自にブレンドした中細ストレート麺。湿度によってコシや舌触りが変わるため、毎日水の量を調整して作るそう。
この麺を大鍋で茹で、対流させて均一に火を通して平ざるで上げます。
スープは国産の丸鶏と鶏ガラをベースに、地元野菜などを煮込んで旨味を抽出したダシと、天然醸造の醤油を使ったかえしを合わせた清湯(チンタン)スープ。この濁りのない透き通ったスープは、自家製麺を味わうために作られています。あくまで麺ありき、というわけです。

美しさが際立つ醤油ラーメン〈弾八〉を実食!ストレート麺の魅力とは?

醤油ラーメン〈弾八〉は、まず見た目の美しさに感動してしまいます。平ざると箸を使った盛り付けは、まさに職人技。
実際にいただいていみると、麺は思っていた以上に弾力があり、もっちりとした食感が楽しめます。それでいて舌触りがなめらかで歯切れもいい。麺をすするたびに小麦の香りが鼻に抜け、麺を味わうラーメンであることを実感できます。

そしてスープはあっさりしているのにコクうまで、自家製麺との相性も抜群。くどさとは無縁のため、ついもうひと口、もうひと口と啜ってしまい、麺を食べ終わる頃にはほとんどなくなってしまいました。
今回いただいたラーメンの具材は、ネギと三つ葉のみ。通常お店で提供される場合の醤油ラーメンはここに、チャーシューとネギ、ピンクペッパーが添えられますが、それでも具材は至ってシンプル。麺とスープの味わいはとても繊細なため、具材をのせるだけで味が変わってしまうことから具材は少なめにしているそう。

喜多方ラーメン文化に挑む!『自家製麺HACHI』が会津に吹き込む新風

『HACHI』の店主・平出さんは会津若松市出身。東京でアパレルのグラフィックデザイナーとして活動後、有名イタリアンや人気ラーメン店などで修行を重ね、地元に帰ってきて2019年にお店をオープンさせました。

−なぜデザイナーを辞めてラーメン店を始めたのでしょうか?
「もともと料理にすごく興味があって、30代で飲食に移ると決めていたんです。東京でイタリアンなども学びましたが、最終的にラーメンにたどり着きました。僕の中で料理は、“ものづくり”という点で、グラフィックデザインととても似ているんですよね。グラフィック制作はふとした時にポンと頭に浮かぶことが多いのですが、この麺も同じような感覚で、自転車に乗っているときに頭の中で小麦の配合を組み立てて完成したんです」。

キッチンにこもって試行錯誤するのではなく、求めている完成形をイメージして、自転車に乗りながら頭の中で作り上げた自家製麺。オープン時もストレートの中細麺だったが、コロナで休業中だった2020年に再びイチから作り直して現在の麺になったとのこと。

「会津の伝統的なラーメンといえば、太い縮れ麺が特徴的な喜多方ラーメン。みなさんその麺に慣れているから、ここら辺では、なかなか他のラーメン店が定着しないんです。朝からラーメンを食べる風習だってあるのに、あるのは1種類だけ。
だけど自分が東京に住んでいた時は気分で色々なラーメンを選べたし、それがすごく楽しくて、散々食べ歩きました。そういった中で、これだ! と思ったのがストレート麺でした。
僕は、そんな風にラーメンが自由に選べる楽しさと、自分自身が「これだ!」と感じたストレート麺の美味しさを、会津でも伝えたかったんです。だから喜多方ラーメンを食べ慣れた会津の方々でも馴染みやすいよう、中細麺でもっちり感を残しつつ、歯切れもいいバランスを追求しました。スープに関しても僕の好きな清湯で、あっさりした中に旨味を凝縮。自分で言うのもあれですが、この味を超えるものがない究極に僕好みのスープです」。

こうして会津のラーメン文化に新たな風を送り込んだ『HACHI』は、今回の旅に同行してくれたアーティストのMHAKさんもお気に入り。それもそのはず、実は2人は中学の同級生。しかしながらその関係性を抜きにしても「HACHIのラーメンは本当に美味しい!」とMHAKさん。
平出さん曰く、オンラインで販売されているラーメンはお店の味とほぼ同じとのこと。会津のラーメン文化に新風を吹き込んだ『HACHI』のラーメンを、ぜひ一度ご自宅で味わってみてください。実店舗の営業日はInstagramからご確認のほど。


HACHI
住所:福島県会津若松市中島町3-40 MAP
URL:https://8hachi-noodle.stores.jp/


Credit
Photo_Shuhei Nomachi
Text_Masahiro Tsuda
Edit_Satoshi Yamamoto


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