2026.02.13
瀬戸内海に浮かぶリゾートアイランド、淡路島。関西都市圏直下の好立地ながら、のどかな空気感をまとう島内には、寄り道したくなるグッドスポットが多数。訪ねたのは、淡路島初のクラフトビール『淡路ビール』の醸造所『アワジブルワリー』。普段はなかなか見ることができない醸造所内を見学させていただきつつ、その裏側や醸造に対するこだわりについて聞いてきました。
目次

数ある“淡路”の名を冠した特産品の中でも、全国的にも高い知名度を獲得する『淡路ビール』。明石海峡が開通した1998年、島内初のクラフトビールとして創業した老舗です。そんな地元の銘品が作られるのがこちらの社屋兼醸造所、『アワジブルワリー』。淡路ICからほど近く、島内の大動脈・国道28号線沿いという立地も魅力です。しかもこの日は、特別に醸造所内を見学させていただけることに。案内人は、工場長の片山さん。
片山さん、今日はよろしくお願いします!

醸造担当/工場長 片山輝彦さん
前職の建築関係のお仕事から転職して10年弱。ビール造りはまったく未経験からのスタートだったものの、いまでは同社醸造部門の主力として、醸造、管理、レシピ設計まで幅広く担当。ちなみに、ビールは好きだがお酒はあまり強くないそう。

白衣とキャップを身につけエアシューターを通過したら、片山さんの案内で醸造所の中へ。ステンレスタンクがずらりと並び、配管やバルブが縦横無尽に走る風景は、まさしくプロの現場。さっきまでのほんわか旅モードから一転、ピリッと気持ちも切り替わります。

タンクを横目に聞き取り開始。話はまず、淡路ビールの特徴から。
「最近は、ガツンと苦味が効いて香りも強い、IPAのような特徴あるビールが流行っていますよね。でもウチが目指しているのは、どんなシーンでも飲みやすくて、どんな料理にもマッチする、いわばベーシックなビール。逆に言えば、そこまで特徴を押し出してはいないんです。よく”万人受けする味だね”と言われるんですが、まさしくそれが『淡路ビール』の目指すところとなっています」。
そう聞くと、『淡路ビール』が極普通のビールように思えますが、決してそんなことはありません。厳選した麦芽100%使用。加熱処理を行わずに無ろ過で仕込むことで、生きた酵母の味わいをそのまま残す。極めつけは、淡路島の海の音などを聴かせて発酵・熟成させる“アイランド製法”。
味はベーシックだったとしても、その思想は特徴ありありです。
そんな『淡路ビール』の心臓が、こちらのずらりと並ぶ発酵タンク。片山さんによると、工場内には計14基のタンクがあり、定番7銘柄に季節モノを組み合わせながら、ローテーションを組みつつ日々仕込みを回しているとか。
特に季節モノなどは淡路島の島内でしか流通しないパターンもあるそうで、この日も、淡路島産の新米を使用した島内限定ビールを出荷したばかりとのこと。


発酵・熟成を終えたビールは、そのまま工場内でボトリング。瓶に詰められラベルが貼られ、ケースに収まった後に、各地へと発送されていきます。
「昔は瓶詰めも、ほぼ手作業でやってたんですよ。でも7年前に全自動の機械を入れて、そこでようやく回せる量になった感じですね」と片山さん。
淡路島の自然をモチーフにしたラベル&王冠のグラフィックデザインも雰囲気良好。

工場のあちこちを見せてもらいつつ、片山さんにこの仕事のいちばん面白いところはどこか、聞いてみました。
「オリジナルのレシピを考えて造っていく作業は面白いですよ。素材だったり香りだったりアルコール度数だったり、さまざまな要素を自分なりに組み合わせて設計し、それが狙った味に仕上がったときは、本当に喜びを感じます。
そしてそれが、みなさまの手元に届く。最近では販売先も広がり、いろいろな方から“美味しかったよ”という声もいただけています。本当に嬉しい限りですし、それが私たち『淡路ビール』にとっての、なによりもの励みです」。


工場見学を終えた帰り際、改めて建物入口の物販スペースに目をやると、これがさっきまでいた場所で造られていたのかと、不思議な感慨が押し寄せます。ちなみに上段写真左上に並ぶのが、片山さんのお話にも出てきたお米のビール。見学の余韻が残っているうちに買って帰れば、あとは島のどこで栓を抜くかだけ。
そんな、いつもの1本を理由のある1本に変えてくれた今回の工場見学。みなさんも淡路島に行った際には、ぜひ『アワジブルワリー』へ。普段は工場見学を実施しているわけではありませんが、ここで1本買って帰るだけでも、『淡路ビール』の飲み方が少し変わる。かもしれません。

Awaji Brewery
住所:兵庫県淡路市浦1022-2 MAP
URL:https://awajibrewery.com/
Credit
Photo_Taijun Hiramoto
Edit & Text_Satoshi Yamamoto
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