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FOOD 食事

2025.11.07

兵庫県赤穂市で育つお米『にこまる』と生産者・釜谷さんの物語

日本人の主食にして健康と活力の源、お米。古今東西いろいろな銘柄がありますが、その味と品質に惚れ込み、HESTA大倉運営ホテルでもHESTA LIFE storeでも取り扱っているお米があります。それが、2005年に開発された銘柄『にこまる』。今回はそんな『にこまる』を育てる兵庫県赤穂市の米農家さん、釜谷さんを訪問。社内きっての料理好きであるHESTA LIFE広報イワイダとともに、その背景やストーリーを紐解いてきました。

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古民家カフェ『暖木』で聞く、釜谷さんの農業ストーリー

牡蠣養殖で知られる坂越港から内陸に向かう石畳の目抜き通り、坂越大道。古き良き昭和の町屋が立ち並ぶこの通りに、本日の撮影取材の目的地、カフェ『暖木(のんき)』があります。ここは前述の『にこまる』生産者・釜谷さんが生産した農作物を直送で取り扱う、ご自身とも縁の深い古民家カフェ。ランチ客で賑わう店舗一画をお借りして、その貴重なお話を伺います。

農業を始めたきっかけと教員からの転身

「私は元々、大学の体育学部で健康教育学を学んでいました。そこで出会った先生方から、環境問題であるとか栄養学であるとか人間行動学であるとか、当時としては新しい分野の学問も学び、卒業の際には教員試験に合格しました。その後一度は一般企業に就職したのですが、それがなかなか大変で、どうしたもんかと考えていたときに、とある養護学校の校長先生からお誘いを受け、特殊体育の教員へと転職したんです。
そこから幾つかの学校に転勤しましたが、定年退職するまで教員一筋。ですので自らの生業として、独り立ちした状態で農業をはじめたのは、ここ15年くらいですね。とはいえ、勤めているときも実家の農業の手伝いなどはしていましたので、自然な流れではじめました」。

そんな釜谷さんが現在運営されるのが『のんき畑』。ここ『暖木』カフェで使用する農産物を育てる畑として、あくまで基本に忠実に、土耕栽培にこだわりながら、日々さまざまな農産物を育てています。

土づくりから始まる『にこまる』の美味しさの秘密

ヘアリーベッチを活用したお米づくり

釜谷さんは話します。「土耕栽培で一番重要なのは、やはり土づくりです。と言ってもなかなかピンと来ないかもしれませんが、例えば私の畑ではヘアリーベッチと呼ばれる手法を、『にこまる』などの米つくりを中心に採用しています。

ヘアリーベッチとは元々、ヨーロッパ産のマメ科の植物の名前で、これをまず田んぼや畑に植えるんです。そしてそれを刈り取って土に漉き込むことで根粒バクテリアが発生し、そこから生まれた窒素が土中に取り込まれる。そうすることで、肥料の持ちが良く、水持ちも良い上質な土をつくることができるんです。日本でも昔からある緑肥と呼ばれる手法ですが、近年その有機栽培にも適した手法が最注目されていて、中でももっとも相応しい植物のひとつと言われているのが、このヘアリーベッチ。うちでは主に、フランスやハンガリーなどの欧州諸国からの輸入種を使用しています」。

赤穂の風土と『にこまる』の相性

なるほど、ヘアリーベッチ。初耳ですが、有機栽培にも適した土づくりと聞くと、なんだか環境にも良さそうで気になるところ。そんな良質な土で育てられる『にこまる』は、鎌谷さんにとってどんなお米でしょう。

「一般的には『コシヒカリ』などが有名ですが、本来は寒い地方で育てるお米ですから、赤穂のような土地でつくってもイマイチなんですよね。その点この『にこまる』は九州方面で生まれた銘柄なので、風土的にも合っていて、美味しさも全然違うと思います」。

『ザ グラン リゾート赤穂』との深い縁

品質にこだわる『にこまる』で、ホテル会員から取引先へ

と、話を伺う中でひとつの事実が発覚。聞けば釜谷さんは元々、HESTA大倉グループが手掛けるリゾートクラブ『ザ グラン リゾート』に入会されていて、旅行やお食事などでホテル巡りをされていたとか。それがあるきっかけで、生産者と卸先という関係でも付き合うことに。当時を知るイワイダは、そのときのことをこう振り返ります。

「私も当時そこで働いていたのですが、あるとき、釜谷さんが『ザ グラン リゾート赤穂』でお食事をなさっていたんです。ですが、お料理にはとてもご満足いただけたものの、米がどうにも勿体ないと仰っていただいて。それで、ウチでつくった米を食べてくれということで、当時の料理長と一緒に『にこまる』を含めた3銘柄を試食させていただいたんです。すると料理長が『にこまる』の味に惚れ込んでしまい、そこから、生産者様と卸先という関係でお取引をさせていただくようになりました」。

以来、数えること12〜13年。決して大規模とは呼べない『のんき畑』で収穫された貴重な『にこまる』を、『ザ グラン リゾート赤穂』のために、そしてHESTA LIFE storeのために分けていただいているそう。

「ウチのお米は、通常18cm間隔くらいで植えるところを24cm間隔で植えて日当たりを良くしたり、刈り取る時期や乾燥方法など、細かい部分にとてもこだわって作っています。だから手間はかかるし収穫量も多くはないですが、その分、味には自信を持って提供させていただいています」、と釜谷さん。その貴重なお米、心して味わわせていただきます!

そんな渾身のお米を中心に、釜谷さんが丹精を込めて育てたさまざまな食材がいただけるカフェ『暖木』。季節の野菜を使用した多様なメニューは言わずもがな、やっぱり本企画的なオススメは、お米の味がダイレクトに楽しめる〈おむすびセット〉。しっかりとした大きめの粒感による、ほのかに甘みのあるもっちりと食感は、ぜひ一度ご賞味いただきたいところ。
同時にご提供いただいた季節の旬が楽しめる〈野菜とチキンのカレー〉や、お店手作りの〈NYチーズケーキ〉も絶品でした。

美味しさへの情熱に導かれた釜谷さんの生き方

お食事もいただいた後、本日の撮影の締めにお店の前で記念撮影。緊張が解けたのか、釜谷さんは最後にこんなぶっちゃけ話もしてくれました。

「敷地が30ヘクタール以上あるような大規模農家は補助金が出るので別ですが、ウチのような小さな農家が米づくりなんてやっても、正直まったく儲からないんですよ。確実に毎年赤字だし、周りの人からは、バカじゃないの? って言われていると思います (笑)。
だけど私にとって美味しいお米をつくることは、単純に楽しいんですよ。そういう意味では利益度外視でやっているので、もはや趣味と呼べるかもしれません。台風なんかでも全部ダメになったりますしね。だけどそういう自然相手の中で、試行錯誤しながら少しでも美味しいお米をつくることに、生き甲斐のようなものを感じているんです。そういったお米の赤字はなんとか他の野菜や果樹で補填しながら、これからも、儲けるためでなく生き方として、農業の道を歩んでいきたいと思います」。

情熱が詰まった『にこまる』をぜひご賞味ください

兵庫県赤穂市にて、決してライスワークのためではなく、あくまで美味しいお米をつくることが目的のライフワークとして育てられた、釜谷さんの『にこまる』。その生き方を反映した絶品のお味はこちらから。数に限りがございますので、売り切れ御免とご理解いただけますと幸いです。

暖木(のんき)
住所:兵庫県赤穂市坂越2022 MAP
instagram:@nonki_cafe


Credit
Photo_Ryo Sato
Text & Edit_Satoshi Yamamoto


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