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PEOPLE

2025.08.19

ローカルマルシェ『ふだふだ市』と温泉宿泊施設『パレス松風』が描く、白鷹町の未来

以前に本メディア内でもイベントレポートとしてご紹介した、山形県白鷹町で行われた笑顔あふれるローカルマルシェ『ふだふだ市』。今回はその続編として、同マルシェを運営する『白鷹を盛り上げよう実行委員会』代表の高橋さんと、会場となった『パレス松風』の支配人・五十嵐さんにインタビュー。イベントと会場施設。それぞれの立場から見た『ふだふだ市』と白鷹町の魅力、そしてこれからの展望をお届けします。

地域を巻き込み白鷹を盛り上げる『ふだふだ市』運営代表・高橋さんの想い

ローカルマルシェ立ち上げのきっかけと「ふだふだ」の由来

山形県の真ん中から少し下、雄大な最上川に沿って広がる白鷹町。豊かな自然と四季折々の恵みを誇るこの町で、いま新しい賑わいを生み出しているローカルマルシェ『ふだふだ市』。仕掛けるのは、町内の仲良し主婦4人により結成された組織、『白鷹を盛り上げよう実行委員会』。ここではその代表を務める高橋さんに、『ふだふだ市』について、そして白鷹町について聞いてみました。まずは『ふだふだ市』開催のきっかけから。
「私以外のメンバーは3人とも、前からいろいろなマルシェに出店していたんです。私も自分で出店したことこそありませんでしたが、よく彼女たちのお手伝いで同行していました。だからけっこう現場は見てきていて、こうしたらもっと良くなるんじゃないかな、とかも感じていたんです。それで、“自分たちの手で、自分たちの白鷹町でマルシェを開催しよう!”と決意して委員会を発足し、2023年の8月に第1回『ふだふだ市』を開催しました」。
ちなみに『ふだふだ市』の名前の由来は、“たくさん”という意味の地元の方言、“ふだ”から来ているそう。たくさんの人と、たくさんのモノが集まり、たくさんの笑顔が生まれる場所。そんなあたたかな想いが、このマルシェには込められています。

お客さんも出店者も、誰もが笑顔になれるマルシェを目指して

会場には、地場の食品からアクセサリー、雑貨、子ども向けの体験コーナーまで、40店以上の多彩なブースが。「家族連れで来られるお客さんも多いので、お子さまからお年寄りまで、誰もが楽しめる内容になるよう意識しています。あとは出店者さんのお人柄、というと上から目線に聞こえてしまいそうですが、そうではなくて、シンプルに感じの良い方にお声がけしています。お客さんはもちろん、会場をともにする出店者さん同士も、そして運営側である私たち自身も、誰もが笑顔で気持ちよく楽しめるマルシェでありたいから、コミュニケーションの良好さは大切にしています」と高橋さん。そんな理想のマルシェ実現のため、出店者とのやり取りはできる限り密に、できる限りクイックに対応することを心がけているそう。
「出店者さんに、“ここはどうなりますか?”と聞かれたら、とにかくすぐ答えるようにしています。そうして少しでも不安を減らし、安心して当日を迎えてもらうのが私たちのモットー。そういった意味でいうと、今回初開催となった『パレス松風』さんは山の上に立地しているので、正直、集客面で不安もありました。でもそこも私たち自身が中心になりながら、各出店者さんにも『パレス松風』さんにもご協力いただき、毎日SNSで宣伝を続けた結果、想像以上の来場がありました。屋内でこれだけの規模の出店ができる場所は町内でも貴重だと思うので、今後も良い関係を築いていきたいですね」。

マルシェの枠を飛び越え町の魅力を広げる、未来構想と白鷹愛

「あくまで自分たちのできる範囲内で、無理なく楽しく運営していくのが『ふだふだ市』。なので現状では今回くらいの規模感が手一杯だと感じている一方、長期的な野望としては、もっと大きなイベントにしていきたいとも思っています。そのためには、やっぱり人手が必要。地域の方々との協力体制をもっと強化して、さらには運営の仲間も増やして、より多くの人に関わってもらえるようにしていけたらと思っています」。
また『白鷹を盛り上げよう実行委員会』としては、マルシェに限らず、その他の新しい取り組みにも挑戦していきたいとか。「白鷹町をもっと有名にしたいし、人をもっと呼び込みたい。だから今後は、音楽を交えたイベントや、地域の子どもたちのための防災イベントなど、マルシェの枠を超えた企画もやってみたいと思っています。そういった活動の積み重ねで、地元の人にも観光で来た人にも、“ここに来てよかった”と感じてもらえるようにしていきたい。そういった活動をきっかけに、白鷹に住みたいと思えるような人が増えれば嬉しいですね」。
最後に高橋さんは、白鷹の魅力についてこう話してくれました。「私は生まれも育ちも白鷹なので、いろいろなことが当たり前になっているんですが、それでもやっぱり、白鷹町って本当に良いところなんです。お米などの農作物は本当にどれもおいしいし、春は桜やコブシの花、夏はベニバナ、秋は鮎に冬はスキーと、どの季節も自然の魅力がたっぷり。そしてなにより、人があたたかい。そんな町の魅力をもっと外に向けて発信していくことが、私たちの役割だと思っています。これからも仲間たちと一緒に、できることから一歩ずつ進めていきたいですね」。

マルシェを迎えた地域の交流拠点『パレス松風』支配人・五十嵐さんの未来図

40年続く憩いの場から、白鷹の魅力を発信する新しい舞台へ

『ふだふだ市』主催代表の高橋さんからお話を伺ったあとは、その受け皿となった『パレス松風』の支配人、五十嵐さんからもヒアリング。同地に赴任し現職に就いてからまだ4ヶ月というニューカマーでありながら、早くも来場者約900人という大きなマルシェを呼び込んだもうひとりの仕掛け人に、その想いや狙い、そして今後の展望などを聞いてきました。
「ここは元々40年くらい続く日帰り温泉兼宿泊施設で、弊社(HESTA大倉)が指定管理事業者として引き継いだのが2024年の4月から。それだけ歴史のある保養所ですから、地域の方々の憩いの場として長らく愛されてきた場所です。だけど個人的には、せっかく広いスペースや魅力的な設備があるのに、それらを活かしきれていないのでは、とも感じていました。それでここに来た当初から、もっと地元の方が集まって楽しめるイベントをやりたい、という思いがずっとあったんです。そんな中、町内の方々にイベント開催の構想を話していたところ、『白鷹を盛り上げよう実行委員会』の高橋さんを紹介していただいたんです。それから、お会いしてすぐに意気投合して、“じゃあ一緒にやりましょう”という流れになり、今回の『ふだふだ市』が実現しました。
実際にやってみての感想は、まず出店者さんのクオリティが想像以上に高くて驚きました。それに集客も想定よりずっと多くて、会場全体の熱量を強く感じました。『パレス松風』としてもこの規模のイベントを受け入れられるポテンシャルがあることが実感できたので、『ふだふだ市』だけに限らず、さらに次につなげていきたいですね」。

最上川を望む絶景リニューアルで描く、地域交流と地方創生のシナリオ

『ふだふだ市』の成功は五十嵐さんにとっても、次の一歩を考えるきっかけになったといいます。
「『パレス松風』は2026年の4月頃を目安として、施設全体の段階的な大規模リニューアルを計画しています。最終的な完成は今のところ、28年の春くらいになるのかな? そこはまだ確実には見えていませんが、どちらにしても、温浴エリアや宿泊設備の改修はもちろん、最上川を一望できるロケーションを最大限に活かし、訪れるだけで心がほどけるような絶景スパリゾートとして劇的に生まれ変わる予定です。さらに、温泉と自然環境、新設施設を組み合わせたウェルネスツーリズムにも力を入れ、健康や癒やしをテーマにした宿泊プランや、『ふだふだ市』をはじめとした各種イベントも積極的に展開していきたいと考えています。
そういったコンセプトの中で『パレス松風』は、地域の交流の場としての役割を果たすだけでなく、地元産品や地域の情報、各種体験プログラムへの流入なども網羅した、白鷹町のアンテナショップとしても機能させていく構想です。ここは本当に、1年を通して自然と食の魅力にあふれた町。周辺には、サップやパラグライダー、ハイキングコースなどのアウトドアアクティビティも豊富です。そうした白鷹の魅力を、館内のサービスや商品ラインナップ、体験プログラムにしっかり落とし込んでいきたい。地元の商店や生産者さんとも連携して、“ここに来れば白鷹の旬が全部そろう”と思ってもらえる施設にしていけたらと思っています」。
さらに五十嵐さんは、リニューアル後の施設がより多くの来訪者を呼び込む可能性についても触れます。「お部屋はすべてローベッド仕様の洋装に作り変え、お子さまからお年寄りまで、あらゆる年齢層のお客さまに安心してご利用いただけるようにリニューアルする予定です。それは同時に、海外からの積極的な誘客も視野に入れての施策。そうすることでより幅広い集客を行い、それに伴う新たな雇用を生み出し、結果的に、白鷹町の住人を増やすきっかけにもなれるはず。長期的には、地域創生につながるような役割を『パレス松風』が担えたら理想ですね」。
五十嵐さんは最後にこう付け加えました。「私が目指す『パレス松風』は、”ここに行けば何か面白いことがある、ここに行けば白鷹町のすべてがわかる“、そう思って自然に足を運んでもらえる存在。観光で来られた方々にも、地域の方々にも愛される拠点として、ここから新しい白鷹の景色をつくっていきたいです」。

『ふだふだ市』と『パレス松風』が描く、新しい白鷹の未来

今回お2人に話を聞いて見えてきたのは、異なる立場でありながら、ともに「白鷹町をもっと元気にしたい」というシンプルな想いの共通点。
それはつまり、新たなコンテンツ(=ソフト)として『ふだふだ市』を育て、地域の協力体制を強化して、町全体を巻き込みながらもっと白鷹を盛り上げたいと願う高橋さんの想い。
そして、そのソフトを受け止めるハードとして『パレス松風』をリニューアルし、白鷹町の魅力を凝縮した拠点づくりを進めたいという五十嵐さんの構想は、雇用拡大や定住者促進を経て、将来的に地域創生へとつながっていく大きな可能性も秘めています。
そんな『ふだふだ市』と『パレス松風』、2つの動きが重なり合うことで、白鷹町は今後さらに多彩な魅力を発信できるはず。そしてその先に広がるのは、訪れる人も暮らす人も笑顔になれる、新しい町の景色。想像するだけでワクワクするようなその行く末を、HESTA LIFEはこれからも見守りながら全力でサポートしていきますので、まずはみなさまもぜひ一度、白鷹へ!


Credit
Photo_Ryo Sato
Edit&Text_Satoshi Yamamoto


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山形県白鷹町を盛り上げるローカルマルシェ『ふだふだ市』に行ってきた!>>>


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