2025.01.08
海のミルクの愛称で親しまれる冬の味覚、牡蠣。クリーミーで濃厚で、磯の恵みを丸ごと凝縮したようなそのお味は、老若男女に大人気! 私たちHESTA LIFE storeでも、目下大注目の目玉商品のひとつとして販売しています。ここではそんな、HESTA LIFEが自信を持ってご提供する絶品牡蠣の生産現場に潜入。兵庫県グルメの一角として名を馳せる『坂越の牡蠣』市場を牽引する、坂越港内でもの屈指の水産業者さんにお話を聞いてきました。
目次
やってきたのは、瀬戸内海に面する兵庫県赤穂市は坂越湾の小さな漁港、坂越港。いくつもの牡蠣養殖業者が軒を連ねるこの港内で、親子3代に渡り牡蠣作りに従事してきたオイスターマスター鎌島孝次さんが運営する『功結水産(こうゆうすいさん)』が、本日の目的地です。
前述のとおり同社が生産する牡蠣は、HESTA LIFE storeでも取り扱い中。さらに一部『大倉クラブ&ホテルズ』運営ホテルにも納入していただいている、とってもお世話になっているお取り引き先さまです。
撮影チームが到着したのは、すでに水揚げが終了したお昼ごろ。店舗裏の作業場では、揚げたて間もない牡蠣を処理する社員さんたちのお姿が。
「ウチではまず、その日の朝に水揚げした牡蠣を大・中・小の3段階に別けるところから始まります。その後、殻付きのまま出荷するものは丁寧に汚れを落として洗浄、それ以外はひとつひとつ手作業で剥き身にします。ちなみに大きさ選別の工程は2段階で行うようにしていて、可能な限り正確に大・中・小を別けるようにしています。手間のかかる作業ではありますが、それによって、大は一般のお客様に、中は飲食店様に、小は剥き身の販売/出荷用にと、適材適所で振り分けることができるんです。恐らく、坂越の中ではウチだけじゃないですかね」。
「それらの作業を10数名くらいのスタッフで回していて、インドネシアの水産大学の学生さんなど、外国の方々にも働いていもらっています」、と鎌島さん。
聞けばここ坂越港の牡蠣養殖業者の中では、どこよりも早く海外からの労働力を導入したそう。初めは周りの理解を得られず苦労したことも多かったとのことですが、いまでは他社にも多くの外国人労働者が在籍していて、結果的に鎌島さんがその先陣を切ったのだとか。
ひとしきり加工現場を見せていただいたところで、「せっかくだから、実際に牡蠣を養殖しているイカダも見に行きます?」と、鎌島さんからのお言葉が! 海での作業シーンは見れないと思っていたので、これは大変ありがたい。熟練の腕で操られる船に乗り込み、諦めていた牡蠣養殖イカダを目指します。同行したHESTA LIFE女子チームも、思わぬ出船に大喜び。自前のカメラを構え、貴重な景色を切り取ります。
ちなみに坂越湾には全部で150台ほどの牡蠣イカダがあり、そのうち『功結水産』の所有は6台。毎年クジ引き抽選でどのイカダを使えるかが決められるそうで、場所により牡蠣の出来栄え、つまりは売り値も大きく変わってくるとか。しかもその差額は、最大で5倍近くまでになることもあるそう!
到着するなり、軽やかな足取りでイカダに飛び移る鎌島さん。ひとつのイカダに約1100本ほどの養殖ロープ(写真1枚目)が吊るされているそうで、これを毎朝およそ70本ほど揚げるのだとか。「せっかくなんで1回揚げますね」と、クレーンを使ってグワッと水揚げ。それをバシャッと一気に船上に落とす瞬間は、まるでアトラクションのような迫力で、思わず花火大会くらいの歓声を上げてしまいました。
なお、不安定なイカダの上を歩くのは怖くないのかと訪ねたところ、「慣れてるから怖くはないですよ。まぁでも慣れすぎてて、逆にけっこう落ちますけどね(笑)」とのこと。やっぱ落ちるんだ……。
大迫力の水揚げシーンを見学した後は、ちょっとこっちも見てくださいとお誘いを受け、また別の場所へ移動。当然ここも養殖場ですが、見るからに手法が違う。鎌島さん、これは?
「これは〈うるる〉というウチがオリジナルで展開しているブランドなんですが、ちょっと特殊な三倍体牡蠣というもので、要は産卵をしない品種なんですよ。牡蠣って本来、春から夏にかけて産卵をする生き物で、産卵すると一気に身が痩せてしまう。だから産卵前の秋から冬にかけて収穫するんですが、〈うるる〉は産卵をしないからずっと栄養を貯め込んでおけるし、1年いつでも収獲が可能なんです。ウチでもここ4〜5年前から養殖をスタートした品種で、夏でも安定した品質を提供できる新商品として、今後さらに力を入れていきたいと思っています。養殖方法もいわゆる真牡蠣とは違い、カゴの中で波に転がしてもらいながら育てていくんです。だから外殻の角が削られて、ゴツゴツが少ないカタチになるんですよ。良かったらひとつどうぞ」。
そういってサッと剥いていただいた〈うるる〉は、ご覧のとおりプリンプリンのブリンブリンで、甘みとコクが強いのに後味さっぱり。鎌島さんこれ、激ウマです!!
現在はまだHESTA LIFE storeでの取り扱いはないですが、真牡蠣の旬が終わる夏頃にはひょっとして……?
「坂越の牡蠣って実は歴史が浅くて、まだ30〜40年くらいしか経ってないんですよ。元々はみんな普通に魚を獲っていて、その合間にちょろっと初めたのがきっかけだと聞いています。それが段々と漁獲量が減ってきて、その反面で牡蠣の養殖技術が発達していき、いまでは漁港のすべてが牡蠣をやっています。ウチもおじいちゃんの代からなので、ボクで3代目。そういう意味では、まだまだこれからの産業だと感じていますね。幸いどこの業者さんも跡取り問題には直面していないし、20〜30代の方々が多く活躍しています。確かに働き手は少ないですが、それも外国人労働者の方々などでカバーできているから、漁業組合としてはかなり活気ある方だと思いますね。
そういう若い力がある漁港だからこそ、例えばウチの〈うるる〉のような新しい挑戦もこれからどんどん出てくるだろうし、組合一丸となって、もっと坂越の牡蠣をメジャーにして行きたいですね」。
ただでさえ貴重な加工現場の見学だけでなく、予定になかった水揚げシーンまで撮影させていただき、撮れ高バッチリとなった坂越の牡蠣養殖現場リポート、いかがでしたでしょうか。読者の中にはきっと、おかげですっかり牡蠣の口になった! 良いから食わせろ!とお思いの方々も多いはず。そんな方は、こちらからご賞味あれ。数ある産地の中でも、甘みが強く臭みが少ないと評判の坂越の牡蠣。牡蠣が苦手な方でも食べやすいお味となっていますので、この機会にぜひご家族やお仲間、みなさんでお楽しみください。
そして現在、そんな激ウマ絶品の坂越牡蠣を味わい尽くす、実⾷レシピ企画も鋭意制作中。直球勝負の⽣牡蠣や定番の牡蠣フライなど、HESTA LIFE界隈随⼀のお料理好きである広報部イワイダが腕によりをかけた逸品たちを、某プライベート居酒屋からご紹介いたしますので、乞うご期待!
Credit
Photo_Ryo Sato
Text & Edit_Satoshi Yamamoto