2026.03.19
鳥取県境港市。日本海に面したこの街の中心は、もちろん海産業。その営みをのぞくべく、仲買業者『マルイケ水産』さんの案内で、HESTA LIFE広報イワイダが『境港水産物地方卸売市場』に潜入。さらにはそこで仕入れられた海産物へと加工・販売する干物メーカー『田手商店』さんの加工場にも。競りの現場から、干物づくりの現場へ。海産加工品の入口から出口までをレポートします。
目次

まだ空も白まぬ早朝5時。眠い目をこすりながら到着した、『境港水産物地方卸売市場』。国内屈指の水揚量を受け入れる卸売市場というだけに、その規模は巨大。案内してくれたのは、こちらのおふたり。

左_マルイケ水産 鮮魚仲買人/池淵貴光さん
右_マルイケ水産 代表/池淵 信さん
鮮魚仲買業者『マルイケ水産』を牽引する親子鷹。鳥取県漁協で市場業務に携わった経験のある父・信さんにより、2009年創業。息子・貴光さんは、主にカニの仲買を担当。

見学者用のキャップ&長靴を着用したら、入口の消毒プールを通って入場。徹底した衛生管理は、この市場が国の計画に基づいて整備が進められる“高度衛生管理型市場”だからこそ。
建物自体も2019年から段階的に新築・供用されているそうで、実はまだ未完成の部分もあるんだとか。
今が旬の松葉ガニなど、獲れたての海産物がずらり。

場内には、今がシーズンの松葉ガニなど、この日水揚げされた魚介がそこかしこに。信さんとともに各所を見て回りながら、状態や量をチェックしていきます。
ちなみに、通常競りは5時半から。仲買人はこの競りが始まる前の時間に場内を回り、今日は何が揚がっているかを把握し、買い付けの戦略を立てるそう。

散らばっていた関係者が一堂に。赤キャップが仲買人、青キャップが荷受け人。
信さんも競りに参加。朗らかな案内役の表情から、熟練の勝負師の顔へ。
5時半になり、いよいよ競りがスタート。ここで押さえておきたいのが、この市場には3つの荷受け(売り手側) 組織が入っているということ。これは全国的に見てもかなり珍しく、競りも荷受けごとに実施。3つの荷受けが順番に、30分刻みで競りを回していきます。
そんな実際の競りの現場は実にスピーディー。声が飛び手が動き、魚介が次々と競り落とされていきます。
そこで耳に残るのが、あの独特のダミ声。聞こえてはいるのに意味は拾えない。実はこれには、部外者が値段を聞き取れないようにするための意味があるんだとか。「昔はもっと呪文みたいでした」と貴光さん。


「ここはとにかく、量が動く市場です。荷受け組織が3つも入っていて、たくさん揚がってもここなら一気に処理できる体制があるから、広範囲の海域から漁船が入ってくるんですよ。小さい港だと処理しきれなくて売りに繋がりにくいこともあるので、そこは境港の強みですね」。
「そんな中で私たち仲買の仕事は、産地と売り先を丁寧に繋ぐこと。買い付けて終わりじゃなく、その先にちゃんと流していく。そのためには、相場や水揚げの状況を掴んだうえで、無理のない値段で買い付けを組み立てる必要があります。適切な相場で流通を回すことこそ、仲買業者の役割だと思います。
とはいえ水揚げには波があるし、担い手不足もある。だからこそ、良いものが出た日にきちんと動かして、産地の価値が落ちない形で流通を回していきたいですね」。
競りが終わり外に出ると、空もほんのり明るくなってくる頃合い。港に並ぶ漁船を目の前に、これはどこから来た船なのかなどの話を聞きながら、さっきまで市場に並んでいた魚介の出どころを確認。漁場から市場までの流れに思いを馳せつつ、次はこの先の加工の現場へ向かいます。
境港水産物地方卸売市場
住所:鳥取県境港市昭和町9-7 MAP
instagram:@sakaiminatosuisanjimusyo
▼記事後半

Credit
Photo_Shuhei Nomachi
Text & Edit_Satoshi Yamamoto
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