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LIFE 生活

2025.08.06

山形県白鷹町を盛り上げるローカルマルシェ『ふだふだ市』に行ってきた!

去る2025年7月12日。本メディアの母体である『HESTA 大倉運営』のスパリゾートホテル『パレス松風』にて、地元・山形県は白鷹町を盛り上げるローカルマルシェ『ふだふだ市』が開催されました。白鷹町内はもちろん、山形県内からも、そして近隣他県からも個性豊かな出店者が集結したこのマルシェ、訪れた来場者はざっと900人超。そこはまさに地元の魅力を発信する、多彩な“ヒト・モノ・コト”がぎゅっと詰まったローカルカルチャーの集約地点に。そんな賑わいの一端を、編集部の目線でレポート。地域に根ざした暮らしと表現のかたちをご一読ください。

白鷹町のスパリゾートで開催された第5回『ふだふだ市』をレポート

四季折々の自然の恵みと美しさにあふれる山形県白鷹町。そんな町の魅力をより広範囲に発信するために立ち上がった『白鷹を盛り上げよう実行委員会』主催のローカルマルシェ『ふだふだ市』が、第5回目となる今回初めて、『パレス松風』で開催。
会場となったのは、ホテル内外の広々とした空間。屋内ホールには手仕事の雑貨や食品、アクセサリー、各種クラフトなど多彩なブースがずらりと並び、屋外ではキッチンカーや青空販売の風景も。我らがHESTA LIFE storeもちゃっかり参加させていただいたりして、その出店数は総勢43店舗にも。来場者数も900人以上を数え、いつもはのんびり長閑な白鷹町に、この夏1番の賑わいが訪れました。
そんな『ふだふだ市』の楽しさあふれる会場の様子を、遅ればせながらご紹介。すべての出店者にお声がけすることは叶いませんでしたが、中でも編集部がとくに心惹かれた6店舗にフォーカスし、お話を伺ってきました。

トマト本来の味と魅力を届ける『やさい畑 i-make』

1軒目は、白鷹町でトマトを専門で生産する土屋さんの農園『やさい畑 i-make』。ひとりで切り盛りできるほどの規模ながら、そのトマト作りには揺るぎないこだわりが詰まっています。けれど実は土屋さん、もともとトマトもトマトジュースも苦手だったとか……。
「昔は本当に食べれなかったんです(笑)。でもある時、近所の方からいただいた完熟トマトを恐る恐る食べてみたら、すっごく美味しくて。そこからトマトの魅力にどっぷり。自分でも育ててみたいって思うようになりました。
うちのトマトは、化学肥料も除草剤も使っていませんし、朝に完熟の状態で収穫して、その日の内にすぐ発送しています。そうすると、追熟させたトマトとは香りがまったく違って、葉の青臭さもなくて、自然な甘さが際立つんです。
トマトジュースも最初は飲めなかったんですけど、お客さまから“ジュースもあったらいいのに”って声があって。それで試しに自分で作ってみたら、これが本当に美味しくかったんです。だけど、今でも市販の品は飲めません(笑)。だからこそ、トマトジュースが苦手な方に飲んでほしいですね。
販売は基本的に直送がメイン。顔が見える範囲で届けたいので、山形市内や、一部関東圏のリピーターさんのご自宅へ配送もしています。そのぶん、お店に置いてもらうのは本当に少しだけ。美味しかったよ〜って言ってもらえるのが、やっぱり一番うれしいんですよね。
『ふだふだ市』は私にとっても特別な場所。主催メンバーはみんな白鷹町のママ友のような存在なので、出店者同士も顔なじみ。お客さんも県外から訪れてくださる方が増えていて、本当に嬉しい限りです」。

トマトのおいしさだけでなく、それを育む人柄や想いまでもがぎゅっと詰まった『やさい畑 i-make』。ちなみにトマトジュースは、『パレス松風』でも数量限定で販売中。冬場でも通年販売されていので、お近くにお寄りの際は、みなさまも是非。

やさい畑 i-make
INSTAGRAM:@yamanoekubotomato

家族代々で受け継がれる100年ものの手仕事『山葡萄工房』

2軒目は、山形県上山市のテーマパーク『Hutte & Moss Garden』内で実演販売も行う、山葡萄のツルを使った伝統工芸品を手がける『山葡萄工房』。その作品は、アクセサリーからバッグ、雑貨に至るまで多岐にわたり、いずれも繊細でありながら長く使える強さを備えています。
「山葡萄のツルって、寿命が150年くらいあるんです。だからそれで編んだ籠バッグなども100年は使えるって言われていて、まさに3世代にわたって使える道具なんですよ。使い込むほどに手の油でツヤが増して、色味が深くなっていく。私たちはそんな山葡萄のツルを使用した商品を、ひとつひとつ手作りでお届けしています。
使用される素材も、自分たちで採ってきています。梅雨の時期のたった2〜3週間しか採取できないので、毎年その期間に家族総出で山へ入るんです。しかも、節が多い部分や亀裂が入ったツルは強度的に問題があるので使えない。だから商品として作れる量もすごく少ない。そういう意味では希少価値が高いものだと思うので、こういった出店の際には、多くの方々に手に取っていただけると嬉しいです。
この『ふだふだ市』は、今回で3回目の出店。初めて声をかけていただいたときは、まだブランドとして立ち上げたばかりで、名刺も刷りたてでした(笑)。そんな駆け出しだった私たちにも、運営の方々が本当に丁寧に接してくださって、今回も含めて一度も困ったことはありません。サポートも手厚くて、宣伝にも力を入れてくださってる。とても雰囲気のいいイベントで、また参加できるのが楽しみです」。

見た目の美しさだけでなく、手に取ることで伝わる“芯のあるやさしさ”が、この工房の作品には宿っています。受け継いだ伝統技法と自然への敬意が織りなす、唯一無二の山葡萄クラフト。みなさまも一度、その魅力を感じてみてください。

山葡萄工房
住所:山形県上山市狸森腰王山214-3 Hutte & Moss Garden内 MAP
INSTAGRAM:@yamabudoukoubou

ファンとして惚れ込んだ『はるカフェ』提案の『布施猫』たち

山形県米沢市にある『はるカフェ』は、店主・我彦(わびこ)さんが営む、ちょっぴり隠れ家的な存在のカフェ。今回の『ふだふだ市』では、そんな我彦さんが惚れ込んだ陶人形作家『布施猫』さんの作品を展示・販売していました。
「元々は妻がきっかけで私も『布施猫』さんの作品のファンになり、個人的にいくつか購入していたんです。そのうち顔も覚えてもらって、“実はカフェやってるんです”って話したら、コロナの頃に、“よかったら扱ってもらってもいいですよ”って声をかけてもらえて。そこからのご縁で、ウチでも仕入れて販売させていただいています。だから今回もそうですが、基本的には『はるカフェ』として出店しながら、『布施猫』さんの魅力をみなさまにお伝えしている感じです。
『布施猫』さんの作品って、例えばお茶碗や器などの実用品じゃなくて、あくまで飾り物なんです。そういう意味では少し売りにくい商品かなと思われるかもしれませんが、ほとんどのお客さんが笑顔で見ていってくれるんですよ。しかめっ面して見る人なんてまずいない。それが魅力なんだと思います。
もちろん、すべて1点物の作家物ですから高価な作品もあって、中には数万円する作品もあります。でも最初は手に取りやすい子から入って、気づいたら20個以上集めてる、なんてお客さんもいるんですよ。
『ふだふだ市』は今回が2回目の出店ですが、お客さんの雰囲気もあったかくて、イベントのファンがついてる印象ですね。お子さん連れの方も多くて、のんびりしてて、すごくいいイベントですね。
うちは米沢の中心から少し外れたところにあって、“隠れ家カフェ”なんて言われたりもしますが、別にわざと隠れようと思ってるわけじゃないんで(笑)、ぜひお店の方にも遊びに来てくれたら嬉しいです」。

店頭には、さまざまな表情の猫さんからキツネさんまで、個性あふれる作品が揃い踏み。サイズもお値段も豊富なので、きっとお気に入りのひとつが見つかるはず。ちょっとふてぶてしくも可愛らしい、そんな不思議な魅力にあふれた作品たちが、今日も『はるカフェ』から旅立っていきます。

はるカフェ
住所:山形県米沢市直江町3-12 MAP
INSTAGRAM:@chiharuwabi

素材の力を活かして丁寧に仕込む『あべ工房』の手づくり味噌

続いては、白鷹町で味噌や惣菜の加工品を手づくりしている『あべ工房』。今回の『ふだふだ市』では、〈米沢牛入り味噌〉や〈ニンニク味噌〉など、素材の個性を生かした味噌関連商品を販売していました。お話をうかがったのは、現在工房を担う2代目ご夫婦。会場でも来場者との軽やかなやりとりが印象的でした。
「商品はすべて、私と義母ふたりの手作り。素材も、米沢牛や一部の調味料を除いて、基本的には自分たちの畑で採れた食材を使っています。昔はお義母さんひとりでやっていたんですが、私たちが跡を継いでからはパッケージも新しくして、いまは通販の準備も進めてるところ。絶賛仕込み中で今回は持ってこれませんでしたが、梅干しも人気なんですよ。私たちが目指しているのは、余計な添加物を入れず、昔ながらの素朴な味だけど、誰が食べても“美味しい”と思ってもらえるような商品。とにかく安心で安全な加工品を心がけています」と奥さま。
続いて旦那さまがこう話してくれました。「私は生まれも育ちも白鷹町ですが、実は『ふだふだ市』は、今回が初出店。運営代表の高橋さんが中学の同級生で、たまたま同窓会で再会したときに、“出てみない?”って声をかけてもらったんです。普段はあまりマルシェには出ないんですけど、こういうイベントはあったかくていいですね。みんな楽しそうで、思った以上に盛況で驚きました。白鷹町が地元の人間として、シンプルに嬉しいです。今後もずっと続けてほしいですね」。

味噌や梅干しなど、丁寧に仕込まれた“日々のごはんの相棒”たち。また『あべ工房』の商品も、白鷹町の『パレス松風』館内ショップでも取り扱いがあるとのこと。気になった方は館内売店へ足を運んでみてください。

あべ工房
INSTAGRAM:@abe_koubou

山形唯一の飴専門店が作る進化系フルーツ綿あめ『シーズ ポケット』

『シーズポケット』は、山形市に工場を構える県内唯一の飴専門店『大山製菓』が展開する綿あめブランド。地域の縁起菓子“初飴”の製造元としても知られる老舗飴屋が、その伝統と技術を活かしながら見た目にも味にも革新を施した、まさに山形の甘味文化をアップデートする存在です。
「私たちが提案する『シーズ ポケット』は、もともと老人ホーム関係者から、“お年寄りでも安心して食べられる飴がないか”という話があり、専用の綿あめ機を開発したところから始まりました。そこから、せっかく綿あめ機を開発したんだから、より今の時代にフィットする“カワイイ&キレイ”をコンセプトにした綿あめを作ろうと、商品開発を行っています。具体的には、従来の綿あめにはなかったフレイバー。例えば、ラ・フランスやサクランボ、山葡萄など、できる限り県産果物の果汁を使った綿あめをご提案しています。季節ものなので常にすべて作れるわけではないですが、フレイバーは60種類以上は開発しています。今は自分たちでレモンの苗を育てていて、原料となる果物もできるだけ自社栽培で賄えるよう挑戦しているところです。
基本的にはイベント出店のときしか販売していませんが、個別のご連絡があれば受注・発送対応も行っていますので、ご興味のある方はINSTAGRAMなどからご連絡ください。
私は山形市出身で、妻が白鷹町の出身なんですけど、 『ふだふだ市』への出店は今回が初めて。“山の上だからお客さん来ないかも”なんて言ってたんですが、実際はとてもにぎやかで、人もあたたかくて、すごくいい雰囲気でホッとしますね。東京の百貨店でのイベントにも出たことはありますが、こちらの方がずっとお客さんとの会話も自然で、私自身もすごく楽しめています。今回はとてもいい経験になりました」。

また『シーズポケット』の綿あめは、通常の綿あめよりも30%ほどカロリーがカットされているそう。イベント限定とのことで出会えるタイミングは限られていますが、もし見かけることができたら、是非一度ご試食を。従来の綿あめとは一線を画す、軽やかでフレッシュな甘味を体感してみてください。

シーズポケット(大山製菓)
INSTAGRAM:@c.spocket

極細糸で花を編むアートアクセサリー『ヘナコクロッシェ』

最後は、山形市を拠点に活動するアクセサリーブランド/ショップ『ヘナコクロッシェ』。ブランド名は、出店者/作家さんご自身の出身地である寒河江の方言“へなこ(=お転婆な女の子)”と、かぎ針編みを意味する“クロッシェ”を組み合わせたものだとか。その名のとおり、少女のように自由でおおらかで、だけどとっても繊細で、どこか芯のあるアクセサリーが揃います。
「糸は80番手、かぎ針は14号という、かなり細いもので編んでいます。最初は太めの糸でバッグなどを作っていたんですが、だんだん細かいものに惹かれるようになっていく中で、今の花モチーフのアクセサリーにたどり着きました。チューリップやヒマワリなど、モチーフはいろいろありますが、それぞれの花の形状や葉っぱの表情まで、なるべくリアルに見えるように編んでいるので、ピアス1ペアを完成させるのに丸1日かかることもあります。自分で作っておいてなんですが、とにかく作業が細かいんですよ(笑)。だけど、いくら手がかかっていても価格が高くなりすぎると手に取ってもらえなくなる。だから、集めてもらえる価格帯にすることも意識しています。
モチーフは季節に合わせて変えているので、本物のお花のように、シーズンごとに違う作品を楽しんでもらえると嬉しいです。『ふだふだ市』は今回で3回目の出店なので、他の出店者さんたちとも少しずつ仲良くなってきたかな。お客さんもすごくあたたかくて、雰囲気がよくて、毎回とても楽しませてもらっています」。

細やかな手仕事から生まれる、極細糸で咲かせた花々のアクセサリー。途方もなく緻密な技術と手間がかけられた、小さくても奥行きのある世界を、あなただけの目線でじっくり味わってみてください。

ヘナコクロッシェ
INSTAGRAM:@henaco_crochet

白鷹町を盛り上げる『ふだふだ市』で出会ったモノとヒト

独創性と繊細な技術があふれる作家物に、手仕事から生まれる優しい雑貨、地元食材のグルメ、思わず笑顔になるようなアクセサリーや、懐かしくも新しいお菓子まで。この夏も白鷹町には、個性豊かな出店者とお客さんが集まって、にぎやかな1日が広がっていました。次の開催は12月を予定しているとのことなので、気になった方は乞うご期待。
そして本メディアでも、『ふだふだ市』の深堀り第2弾として、イベント主催者さんの声をお届けする企画を予定中。この心温まるローカルマルシェにかける想いを聞き取ってきましたので、そちらもぜひお楽しみに。


Credit
Photo_Ryo Sato
Edit_Satoshi Yamamoto


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