2024.05.02
地方と都市を結ぶため、全国のローカルカルチャーにクローズアップするOMUSUbee編集部員が、旅先で見つけた情報とその魅力をお届けする本企画。今回は、熱海で作家ものをセレクトする『基地-TESHIGOTO-』に立ち寄り。店主・市田さんのご案内のもとにその魅力をお届けします。
目次
熱海駅から徒歩10分。商店街を抜けて坂道を下る途中に位置する『基地-TESHIGOTO-』。もともとは焼き菓子専門店としてスタートし、その後2017年に作家さんたちの作品を扱うセレクトショップとしてリニューアルオープンしました。
全面ガラスの扉を開けると、手仕事で生み出された木工や布物、器やアクセサリーなど、丁寧に作られた作品がずらりと並ぶ。そのほとんどが熱海近郊や静岡県内を中心に活動する作家さんたちの作品だそう。
「実は熱海近郊は、作家さんが多く暮らしている地域なんです。海と山に囲まれた環境もあって、制作活動がしやすく、陶芸家の方など都内や地方から移住される人もいらっしゃるんですよ」と市田さんは語り、熱海の知られざる魅力を教えてくれた。
熱海と言えば、海や温泉といった観光地のイメージが強い。実際に、街には飲食店やお土産屋が多くひしめき、作家ものを扱うショップはまだまだ少ないという。そうした現状から、オーナーと共に地域の作家さんを紹介することで熱海を違った側面からアプローチができないかと考えお店を開いた。
「熱海で何か形になるお土産をと考えた時に、それがその土地の作家さんが手掛ける作品であればとても素敵だなと思いますし、地域の作家さんの応援に繋がることも嬉しいです。想像を超える過程で作られている1点ものの作品もたくさんあり、私たちの説明もついつい熱くなってしまうのですが(笑)、そういったストーリーなどを作家さんに代わりお伝えできるのも楽しいです」と、マスクの下から笑顔があふれる。
そうした作品セレクトの基準は、品質だけでなく、作家さんの顔が見えるものにこだわります。
「作品のお取引の際は、出来る限り自分たちが作家さんのもとへ伺い、作家さんの想いをしっかりと受け取れるよう会話を重ね、お客様にお伝えできるようにしています。ネットなどを使えばたくさんの商品情報は集められますが、作家さんの大切な作品を託していただきお客様へと繋げる配り手としての使命感をもって、みなさんへ届けていきたいです」。
1枚目:shinobu hashimoto
「真鍮を使ったモビールです。空間に吊るすタイプもあったりと、とても繊細で表情豊か。飾ると魔法のように景色が一変しますよ。県外からこちらを目当てに訪れる人もいるほど注目されている作家さんです」。
2枚目:OTA MOKKO
「寄木細工は昔ながらの堅いイメージもありますが、こちらの作家さんによる作品は、既存にない新しいデザインで伝統工芸を表現しています。ヘアゴムやトレー。箸置きといった日常使いしやすいラインナップも魅力です」。
3枚目:studio iiro
「熱海のガラス工房を構えている作家さんです。吹き硝子の美しい彩りとその中に光る技術の高さに魅了されます」。
ほかにも木工作品や布作品などラインナップはまだまだあり、県内の作家さん以外の物も合わせた作品の数々が店内所狭しと並ぶ。今後は展示室の展開や、作家さんの個展なども計画し、熱海の作品をもっと全国に届けていきたいと願う。
「熱海という地でたまたま出会えた作家さんのモノづくりやご縁をいつまでも大切にしていきたい。そして、ゆくゆくは地元の文化としても盛り上がってくれたら嬉しいですね。そうしたお手伝いとして、この小さなショップという基地から、彼らの魅力一つひとつを丁寧に伝えていければ」と、思いを語る市田さんと、スタッフの杉本さん。
世界でひとつしかない、想いが詰まった手仕事による作品を、大切な方への贈りモノや自分へのご褒美に。旅の記憶として、日常に寄り添ってくれる作品をぜひ連れて帰ってみて。
基地-TESHIGOTO-
住所:静岡県熱海市咲見町12-10 MAP
URL:https://www.cafe-kichi.com/kichi/index.html
Credit
Photo_Taijun Hiramoto
Text_Takuya Kurosawa
Edit_Satoshi Yamamoto
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