2024.02.02
兵庫県神戸市北区に位置する有馬温泉。日本の三古泉のひとつとして、かつては太閤豊臣秀吉にも寵愛され、古くから多くの人たちに親しまれてきた温泉街です。辺りには歴史を伝える史跡や建物も数多く、その街並みは、まさに古都といった雰囲気。そんな歴史ある街並みの一方で、近年ではその伝統を守りつつ、新たなアプローチに挑戦するニューカマーも多数。今回はそんな有馬温泉エリアに新しい風を吹かせている人気店、『ソラカフェ』をレポート。旅の合間の小休止に、是非。
目次
有馬温泉エリアでは数少ない厳選されたスペシャリティコーヒーや自家製ケーキ、自家製パンなどを提供するデザイナーズカフェとして、2021年にオープンした『ソラカフェ』。野菜やフルーツなどの地元神戸の食材や、こだわりのミルクなどを使用したカフェメニューを考案し、新たな形で有馬温泉の魅力を発信しています。
この日いただいたのは、〈生ハムとチーズのクリームパスタ〉と、看板メニューでもある〈アフタヌーンティーセット〉。パスタランチは日替わりで、この他にも柚子胡椒をアクセントに効かせた〈豆苗とキノコとベーコンのクリームパスタ〉や〈芽キャベツとベーコンのペペロンチーノ〉なども人気あり。
要予約の〈アフタヌーンティーセット〉は季節のフルーツを使用したケーキやサンドイッチ、焼き菓子など10種類のフードに、ドリンク2杯付き。いろとりどりのフードと華やかな盛り付けにテンションが上がります!
「今はマロンを使ったパウンドケーキやミニモンブランのタルトの注文を多く頂いています。他にも種無しの柿、薄皮ごと食べられる黒いちじく、愛媛県のいちご農園さんから届く“マドンナ”など、旬の食材をたっぷりと使用しています」と、スタッフの相原さん。
厳選豆を使用し、オーダーを受けてから挽いて丁寧にドリップするお店自慢のコーヒーもお見逃しなく。伝統的な有馬温泉をイメージした深みのある〈ARIMA BLEND(深煎り)〉、ナッツやチョコレートのようなコクと香ばしさの中にフルーティーさを共存させた〈NIJI BLEND(中煎り)〉、華やかな香りと優しい酸味が楽しめる〈SORA BLEND(浅煎り)〉など、常時5種類がラインナップ。
店頭では試飲をしてから好きな銘柄を注文することができ、日替わりパスタやスイーツと相性の良いペアリングで、至福の午後を満喫することができます。もちろん、お土産用のコーヒーも用意されています。
『ソラカフェ』は、earthをモチーフにした2フロアで構成され、1階の曲線状のカウンターには毎朝焼き上げる自家製パン、⻑年神戶の有名店で腕を磨いたパティシエが手作りするケーキ、有馬温泉にちなんだ焼き菓子、その他お土産品などが行儀よく陳列されています。
階段を上がった2階は⻘空をモチーフに、テーブルは雲をイメージ。席と席の間隔が通常よりも広く設置され、ゆったりと座れる開放的なイートインスペースに。オーダーメイドで作られたテーブルとソファが備わり、用途に合わせてリザーブできるのもうれしいポイントです。
階段を上がった2階は、席と席の間隔が通常よりも広く設置され、ゆったりと座れる開放的なイートインスペースに。オーダーメイドで作られたテーブルとソファが備わり、用途に合わせてリザーブできるのもうれしいポイントです。
有馬温泉名物の炭酸せんべいを使用したザクザク食感の〈炭酸せんべいクランチ〉、生産が追いつかない日もあるほど大人気の〈有馬山椒ブールドネージュ〉を筆頭に、個包装されたコーヒーパウンドやフィナンシェ、焼きドーナッツなど、種類豊富なお菓子もテイクアウト可能。オリジナルブレンドのテイクアウト用コーヒー豆とセットにすれば、大切な人への贈り物としても喜んでもらえるのでは。
『ソラカフェ』がオープンして約2年。他にもいくつかの事業を手掛ける多忙なオーナーの林 順発さんに、リモートでお話を聞くことができました。
「学生時代の留学をきっかけに、有馬温泉にある旅館『銀山荘 兆楽』に就職し、接客業を学びました。その後、姉妹館である『スパテラス紫翠』の立ち上げと経営にも。日本の伝統と現在を紡ぐジャパニーズモダンの宿をコンセプトにしていて、有馬の名湯とゆったりした時間を過ごすことができますよ。
その一方で、有馬温泉をこれまでとは違った形でアピールしたいうという思いから、ずっと新しいアイディアを考えていたんです。そのアイディアが『ソラカフェ』になるのですが、和モダンや古民家風ではなく、これまでの有馬温泉にあったお店とは一風変わった、よりモダンなコンセプトで始めたかったんですよね。
ですが、実はオープンする前までは今ほどの観光客はいなくて…… 。コロナの影響もあり、商店街も坂の上の方は閑散としていたんです。本当にここ2年くらいですかね、徐々に観光のお客さまが増えてきたのは。だけど今では海外からのお客さまもかなり多くなり、私としてもホッと胸をなでおろしているところです。最近では地元の方々にもたくさんご来店いただけるようになってきたので、これからもっと地域に密着して、みなさまに愛されるカフェになれるよう、私自身も成長していきたいと思っています」。
今までの有馬にないスタイルでやりたかったというオーナー林さんの言葉どおり、店内には有馬温泉とゆかりのある現代美術家、中島 麦さんの絵画も展示中。お店の雰囲気と見事にマッチした“WM”というシリーズは、林さん曰く「この『ソラカフェ』がオープンする際に、サービスやコンセプトを体感いただいた上で、オリジナルで描き下ろしてもらいました」とのこと。
また店舗1階では、店内で採用しているお箸やナイフ、フォーク、マグカップなどの食器類も販売中。石川県加賀市で作られ、SDGsにも力を注ぐ『ARAS』の海水シリーズや、モダンかつシンプルにアレンジされた有田焼のマグカップとプレートなどを購入することができます。
「せっかくお休みの日に有馬温泉にいらっしゃるのですから、こうした斬新かつアーティスティックなアイテムを通じて、なにかインスピレーションを得てもらえたらいいな、という想いで作品の展示や商品をセレクトしました」と林さん。
日本らしい和の建物やデザインが多く存在する中、これまでの有馬温泉のイメージを覆すような雰囲気で楽しませてくれる『ソラカフェ』。有馬温泉駅から徒歩5分。近くへ訪れた際には、一度は足を運んでほしいスポットです。きっと、有馬温泉の新たな一面を知ることができるはず。
ソラカフェ
住所:兵庫県神戸市北区有馬町199-10 MAP
URL:https://www.soracafe-arima.com
Credit
Photo_Yozo Yoshino
Text_Nobuyasu Saito
Edit_Satoshi Yamamoto
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