2026.04.01
世界遺産の霊峰を擁する和歌山・熊野。梅加工品メーカー『プラム食品』が立ち上げた『紀州熊野蒸溜所』に、ヘスタライフ広報のイワイダと『ザ グラン リゾート エレガンテ白浜』中野料理長、旅するクリエイター・望月さんが訪問。代表・長井 俊暁さんが語る、梅と蒸留酒が交わる新しい梅の可能性をお聞きしてきました。

紀州熊野蒸溜所 代表
長井 俊暁さん
プラム食品株式会社を母体に、2019年、紀州熊野蒸溜所を設立。梅酒・梅ワインの製造で培ったノウハウを蒸留酒づくりに応用し、ウイスキー・ジンを用いた新しい梅酒を手がける。



1969年の創業以来、梅加工品一筋で歩んできた『プラム食品』が、創業50周年の節目に『熊野蒸溜所』を立ち上げたのは、世界市場への挑戦を見据えてのことでした。
「今後どうしようと考えた時に、ウイスキーだと思いました。世界の人口も増えていますし、ジャパニーズウイスキーは世界共通語。私が大好きだということもありますが、絶好のチャンスとして捉えました」。
その判断は的中し、2018〜19年にはニューヨークの品評会でジャパニーズウイスキー部門のトップを、造り手の名も伏せたまま獲得しました。
イワイダ「梅酒のメーカーがウイスキーで世界一を獲ったって、すごい話ですよね。最初から大きな絵を描いていたんだなと」。
蒸留所が立地する上富田町には、熊野連山を源とする富田川の伏流水が豊かに湧いています。軟水系でウイスキーの醸造に適したこの清水が仕込み水です。
「水が豊富にあったことが、唯一の条件です。その土地の資源を生かしているということです」
さらに同社が誇るのが、梅から独自に採取した野生酵母。梅の酸に強いこの菌株は20〜30年の研究の末に見つけ出され、今ではウイスキーやラムの仕込みにも活かされています。
中野料理長「水と素材が土台になるのは料理も同じで。この土地でしか生まれない個性というのは、確かにあると思います」。


のウイスキーの熟成庫として使われているのは、梅の加工場の一角です。梅の香りの充満する空間で樽が時を刻みます。
「梅に関わるつながりを大切にしたい。それがここでしかできないことです」と長井さんは話します。
梅から採取した野生酵母を蒸留酒の仕込みに活かすのも、梅加工一筋で培ってきた技術があってこそ。倉庫では夏55度・冬5度の寒暖差が熟成を加速させ、別棟では長期熟成の実験も進んでいます。
蒸留酒を自社で造り、そして新しく生まれたのが〈ウイスキー仕込みの梅酒〉でした。
「元々梅酒メーカーとして、ずっと梅酒を作ってきた。自社で蒸留酒が造れるようになったのだから、それを原料に梅酒を仕込む。これが自然の流れでした」。
ジンをベースに梅を漬けた試作から始まり、やがてウイスキー仕込みの梅酒へと発展。蒸留所ならではの原料を梅酒に転換するという、この蔵だけの方法論が生まれた瞬間です。


「大人が楽しめる梅酒を作りたかった」として生まれたのがこの〈ウイスキー仕込みの梅酒〉。若い青梅を自社熟成のシングルモルトに漬け込み、バーボン樽由来のバニラ香が熟したドライフルーツのような風味を添えます。
唐揚げや焼き鳥との相性も良く、「私はストレートで、チョコレートと合わせるのが好きです」と長井さん。ひと口飲んだイワイダは「梅酒のイメージが変わりました」と思わずこぼしていました。
クラフトジンをベースに南高梅を漬け込んだ〈Craft Liqueur くまの〉。柑橘の香りとスパイシーな後味が個性で、ソーダ割りにすると爽やかさが弾けます。甘い梅酒とは一線を画す、蒸留所ならではの一本です。
ジャパニーズモルトとスコッチモルトをブレンドし、ミズナラ樽で追熟させた〈熊野ウイスキー〉。モルティーな香りとフルーティさの奥に、ミズナラ由来の甘みが広がります。中野料理長が「スパイス感が料理の余韻を引き立ててくれる」と語るように、食事とともに楽しみたい一本です。

「どこの梅酒も同じようなものになっていくのが、私はあまり面白くはないと思って。であれば、誰も作っていないものを少量でいいから発信し続けていく方が、絶対に面白いはず」。
大量販売よりも一本の付加価値を高め続けることが、この蒸留所の根底にある姿勢です。今後はラム梅酒のリリースも控え、ジンやラムの樽熟成にも挑戦中。
「正直、好みではない方もいるかもしれません(笑)。でもそれでいいと思っております。万人よりも少数からの大好きだという声を大事にしながら、蒸留所として新しい価値や、料理と一緒に選ばれるお酒として、熊野から世界に届けていきたいです」。
中野「少量でも妥協しないものを出し続けるというのは、料理の世界でも同じ考え方です。共鳴するものを感じました」。
現在、『ザ グラン リゾート エレガンテ白浜』では、『紀州熊野蒸溜所』の梅酒をはじめとしたペアリング企画を実施中です。料理と酒の組み合わせを通じて、熊野・和歌山の酒の個性を気軽に楽しんでみてください。
〈構成〉
料理:コース + 日本酒3種ペアリング
〈酒選定〉
【日本酒×前菜】高垣酒造 喜楽里 大吟醸(720ml)
【日本酒×魚】高垣酒造 紀勢鶴 純米酒(720ml)
【梅酒×肉】紀州熊野蒸溜所 ウイスキー仕込み梅酒(ロックorソーダ)
〈お猪口・グラス選定〉
【ヴィラ・コンコルディアセレクト】津軽びいどろ 盃(4色)
【ヴィラ・コンコルディアセレクト】津軽びいどろ タンブラー(7色)

紀州熊野蒸溜所(プラム食品株式会社)
住所:和歌山県西牟婁郡上富田町生馬1474-1 MAP
URL:https://kishukumano-distillery.com
Credit
Photo_Taijun Hiramoto
Text & Edit_Takuya Kurosawa
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